使い勝手の良い?メッセージ「温かく見守っていただけますと幸いです」
テレビで、タレントの「記者会見」の光景を目にすることがあります。
この時アナウンサーによって報じられるのが、
「初めて、オオヤケの場で心境を明かしました」
的なナレーション。
「公の場」とは、何なのでしょう?
報道する側の記者が集まっていれば、それだけですでに環境としては十分「公」の場所になっているようにも思えます。
ところが、「記者会見」と言えば、主催者側で設定するもの。
主催者の意図で行われた会見こそが「公の場」。
すなわち、テレビ局の通路や自宅など、予期せぬ場所でのワイドショー的な「突撃インタビュー」は、おそらく「プライベートな場」。
そこは「公の場」ではなく、そこで語られることは「公式見解ではない」という位置づけなのでしょうね。
それはさておき…
テレビ番組自体から、かつて低俗と批判された「ワイドショー」スタイルが姿を消して以来、また昨今のネット時代、そうした「囲みインタビュー」の画像を目にする機会はずいぶん減りました。
現在そうした情報は、芸能人側からの
「報道関係各位」として送信されるFAX
はたまた
「公式ブログやSNS」
でメッセージ内容が語られることの方が多くなってきました。
テレビではその内容を受けて、リアルタイムではなく後追いで伝える形に。
その場で多用される表現が
「どうか、温かく見守っていただけますと幸いです」。
というもの。
特に、熱愛発覚の際や婚約・結婚など、仕事上のPRではないプライベートなイベント時によく使われているように感じます。
言い方は一見丁寧で、かしこまった印象を与えます。
しかし、発言者のホンネとしては、うるさく追いかけてくるマスメディア~いわゆる芸能レポーターと呼ばれる人種に
「押しかけ取材はやめて欲しい」
「あれこれ騒ぎ立てないで欲しい」
と言っているのと同じです。
誰しも自由に職業を選べる今の時代。
芸能人と呼ばれる人たちは、誰に強制されるわけでもなく「自分でなりたくて」芸能人と言う仕事を選んでいるわけです。
そこは「売れてナンボ」「売れなかったらゼロ」の厳しい世界。
一旦名が売れれば、華やかな名声と多額の収入が得られる反面、マスコミ(芸能レポーター)に追いかけられ、いわれもないスキャンダル・ゴシップに巻き込まれることも十分想定される。
チヤホヤされる快感やおカネと引き換えに、自らのプライバシーは捨てなければならない。
それらをすべて覚悟の上、心の中に織り込み済みのはずです。
清濁併せ呑む度量が、そこには必要とされます。
芸能人とマスコミは、良くも悪くも「持ちつ持たれつ」の関係。
自分をPRしたい時にはマスコミを利用し、都合の悪い時には追いかけまわさないで欲しい、「温かく見守って欲しい」。
発信者側にとっては、なかなか使い勝手の良いコメントだなあ?と。
もちろんそこには事務所をはじめとする周辺の力が働いていて、いち個人にはコントロールが難しい事項があるのも理解していますが。
過去にも「芸能人のプライバシー」について、同じ趣旨の記事を書きましたが、最近特にこの「温かく見守って~」の言い回しが多くなったように感じて、妙に気になっています。