さえわたる 音楽・エンタメ日記

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市町村合併で失われる、風情ある地名

平成の大合併」がピークを迎えた2005年から、はや14年が経ちました。

それ以前にも、大規模な市町村合併はたくさんありました。

 

その昔、国内最大の合併劇は、北九州市の誕生でした。

九州初の政令指定都市誕生のため、人口規模が比較的近く、かつ地理的にも隣接した門司・小倉・若松・八幡・戸畑の5市が合併しました。

当時は政令指定都市になる基準が今よりも厳しくて、人口100万人がひとつの条件だったと記憶しています。

そして、付けられた地名が「北九州市」。

九州の北端、まさにまんまのネーミングです。

合併前の市名も残ってはいますが、北九州市内の「区」に一段階「格下げ」になりました。

 

さいたま市も、政令指定都市を目指し浦和・大宮・与野・岩槻市が合併して人口100万人を達成しました。

埼玉県にあるから、さいたま市… 

無難といえば無難ですが、なんとも…。

こちらも、旧市名が大宮区浦和区などとして残ってはいます。

しかし住民に地元を尋ねると、「さいたま市です」と言う人はあまりなく、「浦和です」「大宮です」と、いまだに合併前の地名で話す人が多いようです。

やはり、元々の地名に馴染みが強いのだろうと思います。

 

都内でも、保谷市田無市の合併がありました。

そして生まれた市名は、「西東京市」という、これまた味気ない名前。

四国・愛媛県伊予三島市川之江市が合併して出来たのが、これまたそのまんまの「四国中央市」。

四国の中央だなんて、ある意味大胆なネーミングですね。

 

九州には「北九州市」だけではなく、鹿児島県に「南九州市」という市もあります。

こちらも 川辺町・知覧町頴娃町が合併して発足したものです。

(以前こんな記事を書きました。これがきっかけで、個人的に愛着のある土地になりました)

saewataru.hatenablog.com

 

驚きを超えて笑ってしまったのが、やはり合併で生まれた石川県能美郡にある根上町・寺井町・辰口町が合併する際の市名検討の場。

最終的には郡の名前をそのまま使い「能美市」に落ち着いたのですが、メジャーリーガー・松井秀喜の出身地ということで「松井市」にする案も出たとか。

彼がいくら偉大だとしても、さすがにそこまでは、ですね?

 

あま市(愛知県)、みやま市(福岡県)、みどり市群馬県)、さくら市(栃木県)など、ひらがな名の市もまとめて誕生しました。

それぞれの名前に、かつての地名の面影は残っているのでしょうか?

さくら市…近隣の千葉県にすでに「佐倉市」があるのに、なぜ?と思いました…)

 

合併ではありませんが、住居表示の変更の関係で、今の新宿駅の西側一帯が整備された時に、「角筈」「淀橋」「柏木」「成子」「十二社」など昔からの風情ある地名が消え、「西新宿1丁目~8丁目」としてひとくくりにまとめられました。

大手家電量販店の「ヨドバシカメラ」の「ヨドバシ」が、新宿西口の地名・淀橋であったことを知る人は、もはや少ないのではないでしょうか。

 

誰しも、生まれ育った土地への愛着は少なからずあるもの。

地名に対しても同様でしょう。

「合併してよかった」点ももちろんあるのでしょうが、住民の方々の思いはどうなのでしょう?

個人的には、かけがえのない歴史の歩みが忘れ去られてしまうようで、ちょっと寂しい気がします。