【懐かしい歌No.60】「愛のせいで」小柳ルミ子(2014)
「わたしの城下町」でデビューしたのが、1971年4月25日。
今年は、歌手生活50周年の節目です。
70年代には、デビュー曲と並ぶ大ヒットとなった「瀬戸の花嫁」をはじめ、「京のにわか雨」「冬の駅」「星の砂」などのヒットを飛ばしました。
80年代に入っても「来夢来人」(らいむらいと)「お久しぶりね」「今さらジロー」などが話題作になりました。
「昭和の終わりまで」が、実質的な活躍時期でした。
「紅白」にも、18回連続で出場しています。
70年代前半は、時代背景からアイドル的な人気を博していました。
同じ年にデビューした南沙織・天地真理とともに「新・三人娘」と呼ばれた時期もありました。
しかし、元々は宝塚音楽学校の出身。
その歌唱力で勝負できるタイプでした。
また、1969年から1985年まで16年間放送されたザ・ドリフターズの人気番組、「8時だヨ、全員集合」の最多出演ゲストでもあります。
彼女の新曲が出るたび(少なくともおよそ3か月に1回)必ずゲストに出演していたイメージがあります。
番組内では、歌の披露と同時に、ドリフターズのメンバーとコントで絡むコーナーが用意されていました。
彼女も、その一員として大活躍。
特に、志村けんと繰り広げた「夫婦コント」の名演ぶりは、由紀さおりや研ナオコと並んで、お笑い芸人顔負けのセンスをうかがわせるものでした。
そんな彼女も、21世紀に入ってからは懐メロ歌手のイメージ。
最近、熱烈なサッカーファンとして時々マスメディアに登場することはありますが、「本業」での活動を目にする機会はほとんどなくなりました。
2002年から9年間も、新曲が出せない時期もありました。
この「愛のせいで」は、2014年に発売。
現時点で、彼女の最新シングルです。
曲自体、初めて耳にされる方が100%だと思います。
男女の別れのシーンで、気丈にふるまう主人公を描いた詞の世界。
ポップな8ビートに乗せた覚えやすいメロディーライン。
キャッチ―なサビフレーズ。
特に「背中を向けたら 真っ赤っかの他人」の歌詞。
通常「赤の他人」という言葉はありますが、それをこのような形で表現・強調する歌詞フレーズは、メロディーとともに耳に残ります。
「オトナが聴ける歌謡曲」のマーケットは、実のところ非常に小さいです。
一般的に、若い頃アイドルポップスに馴染んで来た世代は、トシをとっても演歌にシフトしたりはしない。
かと言って、今はやりの歌は難し過ぎてなかなか馴染めない。
それが、中高年層を「自分と一緒にトシを重ねて来た歌手への共感~懐メロ回帰」に走らせる要因なのかなと思います。
そう考えた場合、この楽曲は少なくとも曲調から見て、ある種「昭和歌謡」をイメージさせるような、それなりの「売れ線狙い」かと思ったのですが…
今はそういう時代ではないんですね。
これがもしも30年前だったら、少しは話題になっていたかもしれません…
長年のファンゆえの贔屓目だったのでしょう…
それでも、今のカラオケには「新曲」としてしっかり入っています。
そして「これが永遠の最新シングル」かもしれないと覚悟しつつ、大事に歌い続けています。