「若さが売り」の芸能界では、年齢はサバを読むのが当たり前?アイドルデビューに20歳超えは致命的。「芸能生活・歌手生活〇〇周年」を祝う時は「逆サバ」
「サバをよむ」という言葉があります。
漢字で書くと「鯖を読む」。
魚ヘンの「サバ」の字が当てられています。
意味としては、「自分の都合の良いように、数字や年齢をごまかすこと」と辞書にあります。
語源はさまざまあるようですが、最も有力な説は…
- 江戸時代から使われていた言葉。
- サバは傷みやすく、また収穫される数が多かった。
- そのため、量が大雑把に早口で数えられた。
- 結果として、実際の数と合わないことが多かった。
- そこから転じて「いい加減に数を数える」意味になった。
「サバを読む」最もポピュラーなシチュエーションは、「年齢」でしょう。
人は誰しも「若く見られたい」願望があります。
若く言われると、気持ちとしてはうれしい!
一方ビジネスの世界では、あまり若く見られると「舐められる」ことにもつながり、それはそれで考えものです。
純粋に「若さ」がウリになるのが、芸能界。
実際は20歳過ぎなのに、たとえば18歳と偽る。
歌手や俳優のデビュー時に、よく使われるパターンです。
特にアイドルの場合には、「ハタチ過ぎ」だとそれだけでイメージ面でマイナスになってしまう。
そこで、「まだ10代」とごまかして売り出すことが多くありました。
昭和の終わりに活躍し、「伝説」となった名歌手、
1953年1月生まれの彼女は、1974年3月、21歳の時に日本デビューしています。
「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」の「ヒット3部作」で知られるように、彼女は「演歌とポップスの間を行く、歌謡曲歌手」のイメージが強い歌い手です。
しかし、デビュー時の売り出し戦略は「アイドル」として、でした。
デビュー曲は、ポップス色の強い「今夜かしら明日かしら」。
アイドルにとって「20歳超え」は、致命的に不利です。
歌番組のインタビューで年齢を尋ねられた彼女は、まだ日本語が不自由だったため、英語ではっきりと
「Nineteen」
と答えていました。
事務所の方針で、そう指示されていたのでしょう。
もっと厳密に言うと、「19歳」と「18歳」が与えるイメージの違いも微妙に大きいもののようです。
同じく昭和の終わりに、アイドルとして一世を風靡した
田原俊彦。
1961年2月生まれの彼は、1980年6月に歌手デビューしています。
19歳でしたが、公表されていた年齢は18歳でした。
デビュー翌年の2月、歌番組のインタビューで誕生日を祝われた際、彼は
「ハタチになりました」
と明言した。
ここで「1歳のサバ読み」を認めたのです。
「たのきんトリオ」の中で1番年長だったがゆえに、バランスをとるためにサバ読みを迫られていた、という話もあります。
ところが、たとえば現在のジャニーズ系アイドルを見てみると・・・
ジュニア時代の「下積み」が長く、さらに上がつかえていてなかなかチャンスが訪れないことから、デビューした時点ですでに「旬」を過ぎた20代半ば、などという状況が珍しくありません。
サバを読んでも、もはや「焼け石に水」状態です。
一方で、水商売の世界では、実際はまだ10代(しかも18歳未満)なのに、仕事に就きやすいように年齢を水増しすることがあります。
いわゆる「逆サバ」状態です。
ところが、歌手の世界でも「逆サバ」を読むことがあります。
それは年齢ではなく、デビューからの「年数」をカウントする時。
不思議なもので、年齢は若い方がイメージが良いとされているのに、芸能生活は長い方が「箔が付く」ため、その年数が大きい方が有利なのです。
芸能界では、売れていようがいまいが、年齢に関係なく1日でも早くデビューした方が「先輩」になり、その上下関係は部活の体育会など足元にも及ばない厳しさだと言います。
そのためか、芸能生活(芸歴)に関しては「長さ」を自慢してアピールする傾向が強いです。
たとえば、
デビューからちょうど9年経った時点で、すでに「10周年」になるのです。
本当は、まるまる10年経った時が「10周年」ではないかな?と思うのですが。
「10周年め」に入った時点で、すでに「周年イヤー」に突入しています。
周年記念を謳ってライブツアーやイベントを開催する。
その方が「興行」を打ちやすい。
そうしたコマーシャリズムの影響が大きいのだと思います。