さえわたる 音楽・エンタメ日記

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タメ口会話の方が気軽なはずなのに、いっそ敬語で通した方がラクだと思う時

外国人に日本語の難しさを問うと、大きなポイントが2つあるようです。

ひとつは、文字に「漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベット」が混在しており、特に漢字の読み書きが大変なこと。

そしてもうひとつは、状況に応じた「敬語表現」が多彩で複雑なこと。

 

敬語については、母国人である日本人でも、的確に使いこなせている人は少ないと感じます。

使うには神経を使い、面倒で煩わしい敬語。

それなら、敬語抜きですべて「タメ口」でしゃべれれば、会話はずいぶんラクなものになりそうです。

 

しかし、自分の記憶をたどると、あらゆる場面でそれが通用したのはせいぜい中学生ぐらいまでだったような気がします。

 

半年ほど前「名前を呼び捨てで呼び合える間柄」についての記事を書きましたが、会話での言葉遣いもそれにリンクしていると感じます。

saewataru.hatenablog.com

すなわち、

「呼び捨てやくん・ちゃん付け」の関係であれば、ふだんのしゃべりはタメ口になります。

ところが高校で部活に入ると(場合によっては中学から?)、それまで生きて来た人生の中で初めて「目上」の存在を意識することになる。

たとえたった1つの年の差でも、1年生にとって2年生は敬語を使うべき「絶対的先輩」になります。

 

では、年齢が上であれば敬語表現は必須か?というとそうでもなくて、出会った際の関係がモノを言う世界なのだと思います。

 

たとえば、大学に入った際、クラスにいた「浪人生」は当然自分より年上。

もし彼らと別のきっかけで高校生の時に出会っていたら「先輩」になりますから、敬語対象者だったことでしょう。

でも、出会いの時点ではあくまで「同級生」としてですから、いくつ年上であっても扱いはそれまでのクラスメート同様自然に「タメ口会話」になります。

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社会人になると、「タメ口・敬語」の境界線が一気に複雑化します。

 

同期入社の仲間たちは、出会いのきっかけが学生時代の同級生と同じ。

ですから、それと同じ感覚で「タメ口」会話が普通でした。

 

最初に困ったのは、職場にいた「年下の先輩」

それまで敬語使いのポイントは年齢(学年)にありましたが、それが通用しない事態に初めて遭遇したわけです。

そこでは、年齢より「社歴」の方が重要でした。

年下の人に、初めて「敬語」を使うことになった瞬間でした。

 

それがもっと複雑になったのは、何年かごとに行われる部署異動や転勤です。

その部署では、自分は何も知らない「新任」の立場。

年齢関係なく、以前からの部署にいる人たちはみな「先輩」になる。

たとえ自分がある程度上の肩書をもって「上司として」着任したとしても、です。

 

仮に立場が上と言っても、その部署のことは何も知らない。

従って、「部署では先輩」のスタッフにいろいろと教えてもらわなければならないことがたくさんあります。

そんな時、相手が年下だから、あるいは部下だからと言って、いきなりタメ口で話すのはなんとも横柄な気がして、私はためらってしまいました。

 

最初は、おそるおそる敬語でしゃべってみる。

慣れてきて、どこかのタイミングでタメ口にチェンジ出来たら、その後の付き合いはフランクになり、やりやすくなるかもしれません。

しかし、そのタイミングを見計らうのは、相手のキャラクターによってさまざま。

口で言うほど簡単ではありません。

結局、「出会った時のお互いの関係」をずっと引きずることになる。

「この人とは、ずっと敬語使いでいいや!」と割りきってしまいたくなることもあります。

 

これが社外の取引先になったりすると、タメ口のハードルはぐっと高くなります。

 

自分がお客の立場で、営業の相手が新卒に近い担当者であるような時。

周囲を見ていると、自分がある程度の職位を持っている人は、たとえ社外の人間であっても、のっけから「やぁ、〇〇くん」的な言葉遣いをする人が少なくありません。

その方が親しみがあって良いのかもしれません。

でも私は「会社対会社」の意識が先立ってしまって、なかなかそれがスムーズに出来ない。

どうみても新卒に毛が生えた程度、としか思えない若手社員でも、最初は「敬語」で対応します。

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会社同士の付き合いでなくても、たとえば

お店で買い物をする時の店員さんとの会話

の時も同様です。

 

こちらは明らかにお客。

相手は店員、しかもどう見ても自分よりは年下。

お客なのだから、もっと「堂々と」エラそうに(?)ふるまっても良さそうなシチュエーションです。

実際そういう場でシニアの人たちを観察していると、はなから敬語表現を捨て去っている人がけっこういます。

 

それでもまだ私は、たとえそうした関係にあっても、初対面の人にいきなりタメ口でしゃべることは難しいのです。

お店での一期一会の出会いに、タメ口で話すほど親しくなることを求めていない面もあります。

しかしそれ以上に気持ちの持ちようとして、「タメ口の糸口を探そうとするより、いっそ敬語で通した方がラクと思ってしまう自分がいます。

 

堅苦し過ぎる考え方なのでしょうかね?