「好き」の反対は「きらい」ではなかった!
大前提として、「好き」の反対語は「きらい」が常識と信じてきました。
ところが、話はそう単純でないことに気づきました。
そう、マスメディアでもよく使われますし、皆さんの日常会話にもよく登場しているかもしれません。
「苦手」という言葉。
これが「好き」の反対語として普通に使われるようになっています。
たとえばTVのグルメ番組。
前のコラムで「たべもの紹介ばっかり」とぼやきましたが、そこでの出演者のコメントを聞いていると、よくあるのが
「私、〇〇(料理や食材)苦手だったんですけど、これならイケます/おいしいです」
的な発言。
この人、その食べ物が「好きじゃない」、つまり本当は「きらい」なんですよね?
でも「きらい」ではあまりにストレート過ぎるので、「苦手」と言い換えている。
「苦手」だと「きらい」より少しソフトなイメージになって、直球で「きらい」と言うより、「いえいえ、その食べ物が悪いんじゃなくて、ダメなのは私のわがままなんです…」と控えめな印象になる、との認識なのでしょうか??
対人関係でも同様。
「私、あの人きらい。」では身も蓋もない全面否定になってしまうので、「ちょっと苦手で…」などと表現したりする。
単刀直入な否定ではなく、「私の側にも原因がある」的なニュアンスを入れようとしているのかもしれません。
でも、食べ物ならともかく、ニンゲンに対しては「苦手」と言い換えても、本人がいない場所で噂話として言うのもはばかられるでしょうし、ましてや面と向かってだと、言い換えても完全アウトでしょう。
「苦手」の反対語は、言うまでもなく「得意」。
つまり、物事が上手に出来ることが「得意」であって、「苦手」はそれがうまく出来ないことを意味する言葉です。
まあ、「〇〇の食べ物が苦手」と言えば、「きらいだからうまく食べることが出来ない」…そう解釈すれば、まったく間違いということではないのでしょう。
「苦手」かぁ。
うまい表現を考え出したなぁ…。