【懐かしい歌No.97 モ~ニングモ~ニングが印象的に耳に残る】「きみの朝」岸田智史(1979)
今でも、テレビでさわやかな朝の場面をオンエアする時に、サビの
「♬モーニング モーニング きみの朝だよ~」
の部分がオンエアされることのあるこの歌。
「ナニナニと言えばダレダレ」
のキーワードやキャッチフレーズを持っていると、当事者にとっては大きな強みになります。
1976年に歌手デビュー。
1979年には俳優としてもデビューし、そのドラマの挿入歌として起用された8枚目のシングル
「きみの朝」
がオリコン最高位1位を獲得。
大ヒットとなります。
もともとのタイトルは「モーニング」だったとか。
もしもそのままだったら、これほど話題になったかどうか…
「きみの」を入れただけで、格段にインパクトが出ます。
タイトルは、本当に重要です。
本業は歌手ながら、TBSの伝説的ドラマに2本出演しているのも大きな実績です。
ひとつは、武田鉄矢の俳優としての「ライフワーク」とも言える「3年B組金八先生」シリーズの一環として、「1年B組新八先生」の主人公を務めたこと。
そしてもうひとつは、「渡鬼」こと「渡る世間は鬼ばかり」への出演です。
歌手としての初期の作品は、デビュー曲の「蒼い旅」や次作の「黄昏」に典型的に見られるように、暗く悲しいムードの曲調が多かったのですが、この曲では一転、小鳥のさえずりが聞こえてきそうな「朝」のさわやかさをモチーフに制作されています。
基本的には「シンガーソングライター」として、作詞・作曲の双方を担当していますが、時に作詞だけ別の作家に依頼するケースもありました。
この曲も、冒頭クレジットに見られるように、作詞は岡本おさみ(森進一「襟裳岬」の作詞で知られる)によるものです。
ステージバージョンなので、オリジナルのシングルでのアレンジとは多少異なっていますが、イメージはおおむね一緒です。
楽曲としての特徴を大きく4点挙げれば…
ひとつ。
サビはひたすら「朝」を連呼し、覚えやすいフレーズを作っている。
Aメロ・Bメロの歌詞の部分で、ストーリー上訴えたいことは語り尽くし、ワンコーラスの結びは「モーニング」「朝」をひたすら繰り返し、それが聴く者の耳に効果的に残ります。
ふたつ。
中間部でいったん長調から短調に転調し、冒頭の明るくさわやかなムードがいったん壊れる。
ちょっとした「混沌」を作った後、サビで再び長調に戻って「解放」され、印象的なメロディーを配する。
作曲上の優れたテクニックです。
みっつ。
ステージでも本人がギター片手に歌っているように、アコースティックなサウンドを主軸に(使われているのは、ピアノ・ストリングス・ベース・ドラムなど最低限の楽器)アレンジが編成されており、ヴォーカルが際立って響きます。
「フォークソング」の流れを受けた、この時代の曲の特徴かもしれません。
よっつ。
通常J-POPは「ツーハーフ」と言って、1番・2番のあとはサビだけを繰り返す、つまりワンコーラスの「半分」だけを付けたすパターンが一般的ですが、この歌の場合は、3番までしっかりあります。
さらにラストの3番では、サビの「モーニング~」が多く繰り返されています。
なにげないバラードナンバーのようですが、ウラではさまざまな細かい工夫が施されています。
「昔よく歌ったなぁ~」と、懐かしさが蘇る曲です。