【懐かしい歌No.77 オトナの階段上る~】「想い出がいっぱい」H2O(1983)
発売は、今から37年前の1983年。
フジテレビ系で放映されていたアニメ「みゆき」のエンディングテーマに起用され大ヒットした、彼らにとって5枚目のシングルです。
その後、中学や高校の音楽の授業で使われたり、合唱コンクールの課題曲になったり。
また、歌詞の内容から「卒業式ソング」の定番にもなっています。
21世紀に入ってからもCMソングとして起用。
今でも「おとなの自動車保険」のCMで、香川照之がサビフレーズを歌唱しています。
彼ら自身がセルフカバーしたり、他の歌手によってカバーされたり…。
発売されて年月が経っている割には、各世代に耳馴染みの歌なのではないかと思います。
ステージでの彼らは、ギターを片手に歌う2人組。
典型的な「フォークデュオ」のいで立ちです。
サビでは、リードヴォーカルの中沢堅司(現・なかざわけんじ)と 赤塩正樹。
デュオならではの「ハモリ」も利かせています。
キーは、ギターの弾き語りに最も演奏しやすい「ハ長調」。
特に複雑で難しいコードも使われていません。
Aメロが繰り返された後、シンプルながら耳に残る印象的な歌詞
「♬おとなの階段上る 君はまだシンデレラさ」
のフレーズがやって来る。
何十年経っても、歌い継がれる・・・
シンプルながら、この1行が「決めゼリフ」です。
小難しい細工は、一切見られない。
だからこそ、素直に人の心にスッと入ってくる。
時代を超えた、清々しい魅力をたたえた歌だと感じます。
作曲は、高橋真梨子の代表作のひとつである名バラード「for you…」や徳永英明「輝きながら」などで知られる鈴木キサブロー。
渡辺徹の歌手デビュー曲「約束」も、彼の手によるものです。
作詞は、あの阿木燿子。
「あんた あの娘の なんなのさ」の決めゼリフで一世を風靡したダウンタウンブギウギバンドの
伝説のアイドル・山口百恵のブレイクのきっかけとなった
「これっきり これっきり もう これっきりですか?」の「横須賀ストーリー」をはじめ、彼女の代表作の多くを手がけて話題になりました。
また、サビの英語が斬新過ぎて、それが却って話題を呼び大ヒットとなったジュディ・オングの「魅せられて」も彼女の作詞によるもの。
ほかにも、多数のヒット作を持っています。
中森明菜「Desire~情熱」の作詞・作曲を手がけたのは、同じこの2人。
作風の幅広さに、改めて驚かされます。
一流の作家の制作による楽曲でヒットを得た二人ですが、それまでの楽曲は「自作自演」であっただけに、「他者の歌によってヒットした」ことに関してどんな感慨があったのか…
レベル・次元はまったく違いますが、同じく曲を作り歌う立場として、ふとそんな思いが頭をよぎります。
経緯はどうであれ、生涯の「代表曲」を持てたのは幸せなことです。