【懐かしい歌No.75 切なくも温かいマイラバNo.1ソング】「Hello, Again~昔からある場所~」My Little Lover(1995)
女性をメインヴォーカルに据え、バックを2人の男性が固める形のユニット。
Dreams Come Trueのあと、ELTことEvery Little Thing。
Hysteric Blueが出たと思ったら、「色つながり」でBrilliant Greenなども登場。
いきものがかりも、同じ構成です。
それぞれにヒット曲を残し、「ドリカム」編成は一種のファッションになりました。
(もっと古くには「青い三角定規」などというユニットもありましたが…)
「マイラバ」ことMy Little Loverも、そうした3人組のひとつです。
(マイラバの場合、楽曲制作者兼プロデューサー役の小林武史をバンドの正式メンバーとするのか、微妙な部分もありますが)
1995年5月のデビュー曲「Man & Woman/My Painting」
7月に発売された「白いカイト」
が立て続けにヒットし、スタートダッシュは快調。
一躍有名グループの仲間入りをしました。
2曲とも、リードヴォーカル・Akkoのちょっと甘えた感のある歌声に乗せた「さわやかソング」。
それぞれ明るい曲調は、心地良いものでありました。
しかし、正直熱心に「聴き入る」レベルまではいかず、ヒットに合わせ自然に耳に入ってくるくらいの感覚でした。
ところが、休む間もなく8月に発売された3作目となるシングルである
「Hello, Again ~昔からある場所~」
が一気に爆発的なヒットにつながり、必然的に彼らの音楽に注目することになったのです。
単にドラマ主題歌としてのタイアップがあったからだけではなく、その曲調と詞の世界のパワーが圧倒的で、それに一気に引き寄せられた印象でした。
切ない別れを懐かしむ、どちらかと言えば「悲しい歌」ですが、長調に設定されたキーは極度に暗くなく、むしろ「温かさ」を感じさせます。
ミディアムなテンポは、速すぎず遅すぎず。
ちょうど人が歩く速さぐらいで、歌いやすく構成されています。
イントロのエレキギターのメロディーが、シンプルながら一度に「心をわしづかみにされる」ような忘れられないインパクトを残し、そのままヴォーカルへ。
Aメロとサビとで大きく異なる点…
リズムやサウンドは、ワンコーラス一貫して大きな差はありませんが、サビフレーズの歌詞
記憶の中で ずっと二人は生きていける
君の声が 今も胸に響くよ それは愛が彷徨う影
君は少し泣いた? あの時見えなかった
に入る部分での「転調」が非常に効果的に作用しています。
言葉の上でも、それまで淡々と抑えていた想いがここで一気に噴き出すように綴られ、胸に残ります。
女性が「僕」目線で歌っているのも、一種ユニークな演出でした。
タイトルフレーズが「1番ではなく2番に登場」するのも、珍しい作詞手法です。
今振り返ってみると・・・
世紀末の1990年代は、70~80年代そして2010年代に新たな形で顕著になったアイドルブームの「狭間」であった時代。
一概にアイドルが悪いわけではありません。
私もミーハー的にファンになった時期がありました。
ただ、小室ファミリーが幅を利かせる一方で、「本当の歌を聴かせる」それぞれのアーティスト(グループが主体だった)がしのぎを削り、年月が経っても色あせない個性ある名曲が「百花繚乱」状態だったようにも感じます。