【懐かしい歌No.99 エキゾティックなムードが輝くナンバー】「シスター」ポルノグラフィティ(2004)
デビューが1999年の彼らを、連載「No.99」として取り上げる…
「偶然」ではありません!
誰もが彼らの存在を知る今だからこそ、ユニット名もごく自然に受け入れています。
しかし、その名を最初に聞いた時…
目立たなければならないことは、よくわかる。
しかし、通常の会話では卑猥な言葉として避けられがちな用語が、ユニット名に堂々と使われている・・・
そのインパクトの大きさに度肝を抜かれたものでした。
彼らをテレビで最初に見たのは、石橋貴明・中居正広がMCを務めていたTBS系の歌番組「うたばん」でした。
デビューしたての頃、「ブレイク前のバンド」としていくつか紹介されたグループの中のひとつに、彼らの姿がありました。
そこで歌われたのが、デビュー曲となる「アポロ」でした。
「♬僕らが生まれてくる ずっとずっと前からもう アポロ11号は 月へ行ったというのに」
高音ヴォーカル、かつ超ハイスピードのテンポでの曲の展開。
バンド名に負けない、インパクトのあるタイトル。
詞の世界にも、それまでの「はやり歌」には見られなかった斬新さが、そこにはありました。
そしてめでたく、デビュー曲は大きなヒットにつながりました。
しかし、正直最初の印象は「キワモノ」「一発屋」のイメージの方がむしろ強かった。
2作目の「ヒトリノ夜」のセールスはあまり振るわず、やはりそうなのか、と。
ヒットを続けるのは難しいのか、と思いきや…
次に出された「ミュージック・アワー」のヒットで、再び息を吹き返します。
そして、4作目の「サウダージ」から、「サボテン」「アゲハ蝶」と3作連続で見事1位を獲得。
その後も、押しも押されもせぬ一流バンドとして認知され、20年以上第一線で活躍しています。
代表作となったこれらの曲に共通する特徴は、とにかく「歌詞の文字数が多いこと」。
細かい音符に乗せてたくさんの言葉を歌う構成になっているので、まさに息をつくヒマもない忙しさです。
そして、日本の歌でありながらアレンジに民族楽器を使ったり、独特なリズムアレンジを施したり、どこかしらエキゾチックな香りを漂わせているのも、彼らの作品の大きな特徴でした。
デビューから6年目に発売された15枚目のシングル、タイトルは
「シスター」。
やはり同じく、ちょっと日本離れした中近東風の雰囲気を残しつつ、ミディアムテンポで歌い上げられています。
東の海に舟を浮かべて 誰より早く朝を迎えに
風が便りを運ぶと言うなら 僕に宛てた風は吹いていない
あなたのために祈る事なら 今の僕にも許されるでしょう
流れ流れて漂う先で 懐かしい日々を思い出してる
悲しみが友の様に 語りかけてくる
永遠に寄りそって 僕らは生きていく
数えきれない人の涙で 夜明け前の海は今日も蒼い
海の風景と、遠く離れた「あなた」への切ない思いが、独特な世界観を持つ詞の中で美しく融和しています。
「祈り」の気持ちが、タイトルに反映されているのでしょう。
決して派手な印象はない楽曲ですが、「サウダージ」や「アゲハ蝶」に負けず劣らずの名曲だと思っています。