ハキハキした挨拶は心地良いが、職場での会話でやたら「はい!」を連発する部下に困った話
幼い頃から親に、また幼稚園や学校で、
「〇〇ちゃん、お返事は?」
と教え込まれます。
ちゃんと「はい!」と返事出来ることは、人間として最初に習うマナーかもしれません。
もちろん、社会人になってからのコミュニケーションには、明瞭な返答が求められます。
何事にもハキハキと「はい!」と言えると、好感度アップです。
私の部署に、若手社員が部下として入ってきました。
当初は、なんでも「はい!」と答える好青年の印象でした。
ところが、話を進めるうちに、相づちだけで済むタイミングでもことごとく「はい!」を連発して応答するしゃべり方が、だんだん気になってきました。
返事をすること自体は、決して悪いわけではない。
しかし、あまり深く考えている風でもなく、半ば口ぐせのようにあまりにも「はい!」の頻度が多いので、
「本当に話の内容がわかって返事をしているのだろうか?」
と思えてきたのです。
具体的な仕事の話の場面。
私「〇〇くん、ちょっと…」
部下「はい!」(すぐやって来る。ここは好感触)
私「昨日の例の件なんだけど…」
部下(こちらが話し終わらないうちに)「はい!」
私「先方の感触を訊きたいと…」
部下(私の話を遮るように再び)「はい!」
(似たようなやりとりがしばらく続く)
私(若干いらいらし始めるが、そこは抑えて)「それで、相手の感触は良かったの?」
部下「はい!」
私「良かったんだね?」
部下「はい!あの~、その件について〇〇さんとお話ししまして、〇〇さんからはここをこう言われまして、私はここをこうご説明して…」
(その後も延々と「経緯説明」が続いて、「結果」がいつまで経っても見えて来ない)
私(ついにシビレを切らし)「で、結論としてはどうだったの?」
部下「(またも)はい!出直して来るように言われました。」
私「・・・(そこは「はい!」じゃないだろ?!)」
「はい!」と答えられると、こちらとしては仕事はうまく捗っているのだと思ってしまいます。
ところが、これだけ質問と「はい!」の返事を重ねた後で、実は答えは「はい!」ではなく、何らかの問題が発生していることが、さんざんやりとりをした末に初めてわかる。
返事も大切ですが、時間の有効活用はもっと大事。
さんざん「引っ張って」おいて、結論はイエスだと思っていたらノーなのかよ?!
そんな気分にさせられます。
横柄な言葉遣いは論外ですが、本人はきちんと受け答えしているつもりでも、適切なコミュニケーションにはなっていないケースもあるのです。
仕事の進捗の報告は、
「相手が何を聞きたいかをまず理解する」
「経緯よりも結論を先に言う」
「悪い話からまず報告する」
これを機会あるごとに辛抱強く諭しながら伝えました。
社会人としては新米でも、彼なりの価値観や考え方はかなりの程度すでに確立しています。
そこを変えさせるのは、決して容易なことではありません。
時間はかかりましたが、その後「ミスター・イエスマン」の言動は少しずつ改善していきました。