【懐かしい歌No.38】「木蘭の涙」スターダスト☆レビュー(1993)
この連載で取り上げている歌の条件。
まずは「自分のカラオケリストに入っている曲」。
中でも「自分で歌っていて、胸にグッとくる曲」。
そして「披露した結果、周囲の評判が良かった曲」が主な選考基準になっています。
そんな中、この歌は「グッとくる」のジャンルで最高級のポジショニングにあります。
この文を書きながら、また何度も聴いてしまいました。
1981年にグループが結成されていますが、私が彼らの存在を意識したのは3年後「夢伝説」のヒットによってでした。
この「木蘭の涙」はそれからかなり後、1993年のリリースです。
「あなたは眠るように 空へと旅立った」…
の歌詞からもわかるように、死別した人を想う「ザ・挽歌」であります。
この世に「別れの歌」はあまたあります。
しかしそれは、恋愛関係にあった男女が何らかの原因で別れる、という設定であることがほとんど。
たかが歌の世界なのに、
「なぜお互いに愛し合っているのに、別れを選ばなければならないのか?」
「いま流行りの不倫を想定した世界なのか?」
などと、素朴な疑問を抱きながら聴いていました。
一方、より重いテーマである「永遠の別れ」をストレートに取り上げた歌は、なくはありませんが、数が限られます。
その場合、まず楽曲が悲しみを超えて「胸を打つ」ものでなければ、一般大衆には受け入れられにくい。
加えて、表現者である歌い手が「心に響く」ヴォーカルを聴かせなければ、その思いは伝わらない。
ヴォーカル・根本要の少しハスキーなハイトーンボイスは、ヘタな説明など要らないくらい、とにかく表現力が抜群。
このステージでは特に、「魂の叫び」とも言える歌唱を披露しています。
ライブでの迫力は、準備万端でレコーディングしたCDをも上回る勢いです。
逢いたくて逢いたくて
この胸のささやきが
あなたを探している
あなたを呼んでいる
いつまでもいつまでも
そばにいると言ってた
あなたは嘘つきだね
私を置き去りに
文字で見ただけでも泣けてきそうな歌詞を歌われると、もうたまりません。
2番は、1番より一層感情のこもった歌唱になっています。
特に「さよならと言いかけて 何度も振り返る Wow~」とロングトーンで歌い、一瞬音が途切れるあたりで、ついに涙腺崩壊です。
ピアノ1本のアコースティックバージョン!
ハーモニーも美しく、絶品です。
本来明るい曲調になるはずの長調の歌なのに(サビ頭の最後だけ一瞬短調の終わり方になる)、なぜこんなに切ないのだろう…
このステージ空間を共有したかったです。