【懐かしい歌No.26】「たったひとつの愛を」中西圭三(1993)
1991年に「タンジェリン・アイズ」でデビューした時は、あまり注目度は高くありませんでした。
シンガーとしての知名度を確立したのは、翌1992年にリリースされた3枚目のシングル「Woman」のヒット。
この曲で、紅白にも出場しています。
歌い手であると同時に、作曲家としての一面も。
今でもスキーシーズンソングの定番として知られているZOOの「Choo choo train」(後にEXILEがカバーして、彼らの代表作の位置づけに)。
また、ウッチャンナンチャンのレギュラー番組内の企画で結成されたユニット、ブラック・ビスケッツ(ビビアン・スー、南原清隆、天野ひろゆき)最大のヒット曲「Timing」の作曲者としても知られています。
最近では、日本テレビ系「ぶらり途中下車の旅」エンディングテーマに、オリジナルアルバムに収録された複数の作品が採用されています。
これまでに30枚以上のシングルを発表していますが、そのうちざっと8割以上の楽曲に、何らかの番組のテーマ曲やCMソングという形でタイアップが付いており、歌い手としては大変ラッキーな環境です。
もちろん、企画の需要と供給の問題やタイミングといった要因もあるのでしょうが、そうさせるだけの楽曲と歌唱の実力あってこそなのだと思います。
本日取り上げた「たったひとつの愛を」は、1993年11月に発売された彼の10枚目のシングルです。
それまでの楽曲は、どちらかと言うとファンキーでリズミカルなパターンのものが多かったのですが、この作品では確かな表現力と豊かな声量の力強いヴォーカルを生かした王道のバラードを披露しています。
スローテンポにギターのストロークが奏でるバックの強力な4ビートが、強烈なインパクトを残すサウンドアレンジ。
ヴォーカル面でも、それに負けないパワフルさを発揮しています。
特に、サビフレーズ直前の突き抜けるような高音ロングトーン部分とそれに続く美しいサビメロは、グッとくる聴きごたえがあります。
舞台は、雪の前触れを思わせる真冬の街路樹の下。
恋を失った切なさいっぱいの「君」を温かく見守り包み込む世界が印象的に描かれています。
寒さが身に染みるこの季節に聴くと、温かさと元気をもらえるような気がします。
冒頭Aメロの出だしから音符がいきなり高音に飛んだりして、カラオケではメリハリをつけて歌うのにちょっと苦労しますが、エネルギッシュなサビフレーズを歌い上げるとスカッとします。