【懐かしい歌No.90 ミステリアスで飾らない実力派シンガー】「やさしさで溢れるように」JUJU(2009)
現在「現役」として活躍している女性ソロ歌手の中で、「もっと脚光を浴びて然り」と感じるひとりが、
JUJU
です。
ステージでは帽子を着用するなど、全体的にミステリアスなムードを醸し出している面もあり、一種独特な雰囲気と存在感を確立しているシンガー、という印象があります。
それでいながら、バラエティー番組で見せる「飾らない」素顔とのギャップがまた魅力。
これだけの実力・実績を持ちながら「紅白」に無縁なのも謎です。
(「紅白」がすべて、ではありませんが…)
10代の頃にジャズシンガーを目指して単身NYに渡ったキャリアからもうかがえるように、ジャズだけでなくソウルやR&B含め、洋楽ナンバーを広く歌いこなせるパワーを持つ…
それが、「ニッポンのはやり歌の歌い手」とは一線を画す面があったのかもしれません。
デビュー当初は洋楽志向が強かったものの、周囲のサジェスチョンもあって唱法を根本から「J-POP仕様」に路線変更。
そこから、元来の実力が徐々に評価されるようになっていきました。
デビューから5年目の2008年、「素直になれたら」が初のベストテンヒット。
そして、翌年にリリースした
が、CMタイアップの効果もあって、連続ヒットを果たしました。
次作の「明日がくるなら」(JAY'EDとのダブルヴォーカル)が、映画「余命1ヶ月の花嫁」の主題歌に起用され、自身最高位のヒットとなっています。
曲調は、全体に8ビートを強めに利かせた、一種R&B色も感じさせるミディアムテンポのロックバラードです。
ピアノを軸に、ドラムが強調されたサウンド。
ややハードなアレンジになっていますが、優美なメロディーラインに乗せ、下記に抜粋した歌詞のように、純粋に「あなたを愛し続ける」のメッセージを届ける、文字通り「優しい」ラブソングになっています。
ところどころに、アレンジ上の「スパイス」がいくつか見られます。
- 2番の始まりのところで一瞬だけドラムが鳴りやんで、ヴォーカルだけが「浮き出る」部分。
- 2番終了後のまったく異なるフレーズ=「Dメロ」において、細かい音符に乗せて歌詞を一気にたたみかける部分。
- その盛り上がりのあと再びサビが現われるところで、ベース・ドラム・エレキなどさまざまな楽器がやんでピアノ一本に絞られる部分。
アレンジ面で、非常に緻密な「計算」が施されているのを感じます。
<Aメロ>
目が覚めればいつも 変わらない景色の中にいて
大切なことさえ 見えなくなってしまうよ
<Bメロ>
生きてる意味も その喜びも
あなたが教えてくれたことで
「大丈夫かも」って言える気がするよ
今すぐ逢いたい その笑顔に
<Cメロ⇒サビ>
あなたを包むすべてが やさしさで溢れるように
わたしは強く迷わず あなたを愛し続けるよ
どんなときも そばにいるよ
(2番:略)
<Dメロ>
雨に打たれても 風に吹かれても
寒さを感じない 今は
ぬくもりはいつも この胸の中に
決して失くさないよ ありがとう
<再びサビ>
巡る季節の中でも この手を離さないでいて
二人を繋ぐ想いが 決して色あせないように
あなたを包むすべてが やさしさで溢れるように
わたしは強く迷わず あなたを愛し続けるよ
どんなときも そばにいるよ
離れていても そばにいるよ