「輝く?日本レコード大賞」~もう「賞」を争う時代ではなくなった
明日は「レコード大賞」の日です。
「輝く」が付くんですね!
もはや遠い昭和の時代。
「はやり歌」に興味のない人々も、大晦日だけは5時間近く歌番組を楽しむのが普通の光景でした。
午後7時から9時までは「レコ大」。
9時から11時45分までは「紅白」。
視聴率の高さがそれを物語っています。
レコ大の最高視聴率は50%超え。
紅白に至っては80%台、なんて時代もありました。
放送時間の長さも大きく変わりました。
昔は、レコ大は(CMやスポットニュースを含めて)2時間、紅白は2時間45分で終了していたのです。
明日のレコ大は、17時半から22時までの4時間半。
(紅白も、19時15分から23時45分までの4時間半)
放送日を大晦日から12月30日に繰り上げ、放送時間を2時間から4時間半に拡大した分、内容も密度も2倍以上になっているのでしょうか?
ここ10年の視聴率は、10パーセント台の半ばあたりをずっと推移しています。
それでも「テレビ離れ」の現代では、存続に値するほど健闘している方なのでしょうね?
日本レコード大賞を主催しているのは、「公益社団法人・日本作曲家協会」。
なんと、私が会員として所属している組織です。
「当事者」側の人間(?)が、あまり批判めいたことを言ってはいけないのかもしれませんが…
今年の優秀作品=「大賞」候補10作品
アーティスト名だけ並べると…
Little Glee Monster、三浦大知、欅坂46、AKB48、純烈、乃木坂46、氷川きよし、日向坂46、DA PUMP、Fooring
(番組HP掲載順)
となっています。
なぜこの顔ぶれなのか?
選考基準が不透明です。
10曲のうち4つのポストをAKBグループが占めています。
もし配信を含めたCDのセールスだけで決めているとしたら、数値でトップの歌い手を大賞にすれば公明正大です。
ほかは本当に売り上げ上位に入っているのか?
何かで話題になったのか?
リトグリがラグビーで話題を呼んだというなら、昨年同様今年も大活躍し、同じくTBSのドラマを通じて同じくラグビーに貢献し、明らかにセールスで上回っているはずの米津玄師はどうなのか?
今年一番ブレイクしたと言って過言ではないOfficial髭男dismも、King Gnuも、あいみょんも選ばれていない。
(King Gnuとあいみょんは「優秀アルバム賞」にはなっていますが)
彼らに賞は、もはや必要がないものなのかもしれませんが。
辛うじて、昨年のDA PUMP「USA」に似て広範に人気をあげたFooringがノミネートされていますが、グループ平均年齢11歳の「最年少大賞受賞」はあり得るのか?
…などと予想するのも空しくなります。
大賞の選考は、スポーツ紙を含む各新聞社の記者が中心となって行われている「ことになって」います。
選考委員として、音楽関係の専門家が名を連ねてもいます。
しかし実際のところは、レコード会社や事務所などの力関係により受賞者が決まっているのでは?との指摘も常に囁かれています。
平成に入ってからは、受賞そのものを辞退するアーティストも現れるようになり(福山雅治、B'z、Mr.Children、ジャニーズ事務所所属歌手など)、「大賞」の権威そのものが失墜しているのが現状です。
現代のヒット曲は「個別化」「分散化」しています。
AKBにしてもアニメソングにしても、一部のコアなファンがCDを何十枚も爆買いした結果がヒットチャートに載っているだけ。
発売初週だけ1位を獲得し、そのあとはすぐ忘れ去られています。
好き・嫌いにかかわらず、老若男女誰もが知っていて口ずさめるようなロングセラーの「国民的ヒット曲」は、もう生まれない時代なのです。
「賞レース」という言葉がまだ健在だったころ。
TBSの独擅場だったレコ大に対抗して「日本歌謡大賞」や「FNS歌謡祭」(フジテレビ系)、「日本テレビ音楽祭」等の音楽賞が乱立していました。
しかし現在それらは「音楽賞番組」としては姿を消し、毎年恒例のMステスーパーライブやCDTVライブ同様、単なる「歌のお祭り」に変貌を遂げています。
そんな時代、
「音楽賞」に権威や価値は果たしてどれだけあるのか?
素朴にそう感じます。
そのうち、番組名になっている「レコード大賞のレコードって何?」と、真剣に尋ねられてしまいそうです。