聞くたびに気になってしまう、定番化しているお正月シーズンの「二重表現」。ほかにもたくさん
私が「言葉の使い方」カテゴリーで触れている記事は、「本来はこういう意味合いだった」という前提や解釈があって綴っているモノがほとんどです。
しかし、かつて正しいとされていた言葉・表現も、時代に応じてどんどん変化していくもの。
「時を超えて絶対的に正しい基準など存在しない」ことも理解しています。
それを踏まえても、なお
「やっぱりこの使い方や基準はブレて欲しくない」
と感じる表現も数多くあります。
そんな中、典型的に違和感を覚えるもののひとつが、いわゆる
「二重表現」「重複表現」
と呼ばれるものです。
お正月。
年始の挨拶の時に必ずと言ってよいほど発せされるのが
「新年明けましておめでとうございます」
のメッセージ。
年賀状にも多用されるフレーズです。
しかし、この言葉を紐解いてみると…
「あけまして」の「明け」には、もともと「古い年が終わって新しい年になる」という意味があります。
ゆえに、そこにさらに「新年」を付けるのは
「頭痛が痛い」
「白い白馬」
と言っているのと同じ。
そこが違和感の要因です。
もうひとつが
「元旦の朝」
という言い方。
「元日」と「元旦」。
実質的にほとんど同じ意味として使われているケースが多いです。
しかし、「元日」とは1月1日という1日中を指すもの。
これに対して、「元旦」とは1月1日の「朝」を指すもの。
従って、「元日の朝」ならばまだアリなのですが(実際はあまり口にすること場面はありません)、「元旦の朝」は「1月1日の朝の朝」と言っていることになり、やはりこれも二重表現になります。
今さら言うまでもなく、ご存知の方々ばかりとは思います。
しかし、実際には明確に両者を意識して区別している、とはなかなか感じられません。
お正月に関する表現のほかにも、
「まず最初に」
「必ずしも必要ない」
「あとで後悔する」
「違和感を感じる」
「過半数を超える」
「被害を被る」
「製造メーカー」
など。
口でしゃべっている分には気づかないけれど、いざこうして文字にしてみると、明らかに意味の同じ言葉を重ねて使っていることがわかります。
そこで、ふと違和感に気づいてしまう。
そんな、ふだん使いになっている二重表現はいくらでもあります。
お正月の言葉に関しては、正しいかどうかはもはや二の次になっていて、特に深い意味は考えず「慣用句」として使っているもの。
おめでたい時に、いちいち細かいことを気にするのもどうかな?とは思っています。
ただ、お正月シーズンにこの表現を目に・耳にするにつけ、いつも頭の中に「?」が灯ってしまうのでした。