「最も〇〇な〇〇の一人」?
日常会話ではあまり使用されることがありませんが、TVや活字メディアにおいてけっこうな頻度で使われると感じるのが、タイトルに挙げたこの表現です。
たとえば、
「最も優れた研究者の一人」。
「最も美しい女優の一人」。
対象は人物に限りません。
「最も有名な観光地のひとつ」
「最も衝撃的な事件のひとつ」
のように使われたりもします。
「優れた」「有名な」といった形容詞の部分は何であってもかまわないのですが、通常「最上級」を示すはずの「最も」の言葉が付いたら、それは文字通り「ナンバーワン・オンリーワン」のことであって、これでは「最も〇〇なモノ」はいくつかあって、そのうちの一つである、ということになってしまいます。
文法的に違和感が残ります。
「ほかにも素晴らしい人や物事は数多く存在するけれど」という配慮、一種のオブラート的表現なのかもしれません。
しかし、純粋に言葉の意味を考えると、ブログ開設当初に取り上げた日本語の変化(個人的には「乱れ」)、
「会話における『とか』の多用・乱用」(「とか」なしにはしゃべれない人種の爆発的急増)
「『ら』抜きの定着」(見れない・食べれない・寝れない…)
に似た流れをふと感じてしまうのです。