「〇〇すぎる」
形容詞を強調する副詞的表現には、さまざまなものがあります。
たとえば、以前も触れましたが、私としてはもともと関西発と認識していた、「非常に」「とても」を表現する「めっちゃ」は、「むっちゃ」「めちゃくちゃ」などと同様すでに全国区になっていますし、「マジ」も「マジかわいい」など形容詞の接頭語として定着しています。
それらと似た心情ながら、ひと味違う使われ方をしているのが、この「〇〇すぎる」という言い方。
一番最初にこの表現を耳にしたのは、今から10年ちょっと前、八戸市議会議員となった藤川優里氏に称された「美人すぎる市議」だったと記憶しています。
もちろん最近は男性にも「イケメンすぎる〇〇」のように使われています。
食べ物でも「ウマすぎる」などと使われ始めています。
政治家は、政治家としての仕事をきちんとやってもらえばそれで良いわけで、市議が美人であるかどうかはまったく無関係なはずですが、マスメディア側の思惑として、代議士にしては美人が現われた(個々人で当然好みは異なりますが)と評判にしたかったのでしょう。
「非常に美しい」「最も美しい」では表現しきれない、超越した美しさを兼ね備えている、というニュアンスなのでしょうが…。
本来「~過ぎる」とは、「食べ過ぎておなかをこわしてしまった」「言い過ぎてけんかになってしまった」のように、しかるべきレベルを抑えられなかった(望ましくない)行為に対して使われる用語のはずです。
「非常に美しい」を強調した意味なのでしょうが、何事も「〇〇過ぎて度を超え」てはいけません。
聞くたびに違和感を覚えます。