【番組紹介】「サザエさん」の時代考証
「長寿番組」を語る時、「笑点」とともに外せないのが、知らない人はいない(であろう)国民的番組「サザエさん」。
1969年の放映開始から、今年なんとちょうど50年です。
家庭内・ご近所・学校・会社を舞台にした「日常のひとコマ」がテーマとして、一貫して取り上げられています。
とは言え、TV化のモチーフとなっている4コマ漫画の単行本シリーズは、終戦後すぐに発表されているものです。
時代はどんどん進んでいく。
それにつれて「日常」も変わっていく。
一方で、登場人物は永遠にトシをとらない設定、という「大原則」がある。
「原作のコンセプトをいかしつつ現代に合わせる」難しさを感じさせる場面がいろいろ出てきます。
磯野家は東京・世田谷のあさひが丘に立地。
あれだけの広さの敷地に一軒家、しかも平屋。
今だったらそれだけで大層なゼイタク資産です。
住まいは、玄関だけが突き出た伝統的な作り。
和室ばかり5部屋プラス台所、廊下に置かれた黒い固定電話、長い縁側、その突き当りにトイレ(おそらく和式)がある間取りは、現代のそれとはマッチしていません。
かつて東芝が単独スポンサーだった頃の名残り(?)で、テレビや冷蔵庫など電化製品だけはリニューアルされている形跡がありますが、前近代的な間取りと不釣り合いなところも逆に目立ってしまいます。
また、あれだけの構えを持ちながら、磯野家にはクルマがない。
(お隣の伊佐坂家にはあるのに)
さらに、磯野家の家族はケータイを持っていない。
サザエさんの買い物先は、必ず昔ながらの商店街で、スーパーやコンビニは登場しない。
現代にいわゆる「三河屋さん」は、もはや存在しない。
等々のムリは生じながらも、「笑点」同様、この番組が終了することはTV局が、否、世の中が許さないのではないか、とさえ思わせるパワーがあります。
何年か経って、ふと忘れた頃になにげなくチャンネルを合わせても、日曜18時半には必ず放送されている…そんな感じがします。