さえわたる 音楽・エンタメ日記

オリジナル作品紹介、歌の解説、ヴァイオリン演奏、言葉の使い方、エンタメニュース、旅行記などについて綴っています

「ヤバい」は「ヤバい」

「テンションが上がる」の続きです。

 

もともと日本語でも、もともとネガティブな表現だったものが良い意味としても使われるようになったケースがあります。

その典型が、いまや誰もが知る「ヤバい」です。

 

これも辞書を調べてみました。

1.危険や不都合な状況が予測されるさま。あぶない。「やばい商売」「連絡だけでもしておかないとやばいぞ」
2.若者の間では、「最高である」「すごくいい」の意にも使われる。「この料理ヤバいよ」

 

2.で「若者の間では」となってはいましたが、その断り書きが取れて、老若男女問わず定着する日も遠くないように感じています(事実相当な年配者もよく使っています)。

まぁ、世代がどうの、というよりも、TPOの問題なのでしょうね。

親しい間柄で、使ってもきちんと意味・ニュアンスが通じて問題がない場合は、高揚した感情をシンプルな3文字で表現できる便利な言葉として重宝されるのでしょう。

逆に、仕事上やフォーマルな場でふだんの口ぐせとして抵抗なく使われるようになってしまう空気感が普通になってしまう、そんな気がしてこわいです。

 

また、辞書云々以前の問題として、この形容詞が使われていた本来の意味を考える時、個人的には多用がはばかられる品のない言葉、という印象が強くて、今の風潮に流されてかりにも自分の口からこの言葉が出てしまうとしたら、まさに「ヤバい」です。

 

と共に、さまざまな感情の動きに呼応したさまざまな言語があるはずなのに、それをなんでもかんでも「ヤバい」の一言で表現してしまう「ボキャブラリーの貧困化」も、憂える状況です。

これについては、次回。