【懐かしい歌No.63】「Time goes by」Every Little Thing(1998)
ユニット名の日本語の意味は何と言えばいいのか、いまだによくわかっていませんが、通称「ELT」として主に90年代の音楽シーンを彩ったユニットのひとつです。
1996年にデビュー。
3作目のシングル「Dear My Friend」で初のベストテン入り。
次の「For the moment」で初の1位を獲得。
1998年第1作の「Face the change」も1位に昇りつめているのですが、現在になってELTの代表作は?と考えると、最高位は2位ながらミリオンセラーを記録した、この
であったと言えるのではないか、と思います。
これを含め初期のヒット作はすべて、当時ユニットのメンバーだった五十嵐充プロデュースによるもの。
シンセサイザーを多用したサウンド作りと言い、細かく刻まれる16ビートのリズムと言い、疾走感あるテンポの曲調と言い、ほぼ同じ時期に「一時代」を築いた小室サウンドを彷彿とさせるイメージがありました。
8枚目のシングルとなる今作品で、初のバラードにチャレンジした形です。
バラードと言っても、常に「ビート」は強めに意識されています。
冒頭Aメロはピアノとシンセサイザー・ドラムの「トリオ」で16ビートを刻む。
最初に聴いた時、最初の8小節の部分が、2年前の1996年に発売されたglobeの「DEPARTURES」のAメロに酷似しているように感じました。
テンポも多少違うし、メロディーの動きも違う。
ただ、小室サウンドの特徴である16ビートは共通している。
「決定打」となったのは、この間の「コード進行」がほぼ一緒だったことでした。
それはさておき…
「Kissをしたり 抱き合ったり~」
から始まるBメロ以降は、ベースが一転して8ビートにシフトし強く主張。
ヴォーカルも一気に「熱唱」にシフトしていく形になっています。
サビで、それまでの短調が一瞬長調に転調しているように聞こえるのも「聴かせどころ」です。
ワンコーラスの音域が1オクターヴに収まっているのも、この曲のひとつの特徴と言えます。
音域を広くとって、楽曲としてのメリハリを利かせるのは、実は簡単。
抑えたいメロディーを低音に、盛り上げたいメロディーを配すれば、「それらしく」聞こえる。
しかし、実際に歌いこなすのは大変になります。
狭い音域でそれを実現する方が、曲作りにとってはかえって難しかったりします。
<1番歌詞抜粋>
きっと きっと 誰もが
何か足りないものを
無理に期待しすぎて
人を傷つけている
Wow wow wow…
会えばケンカしてたね
長く居すぎたのかな
意地を張れば なおさら
隙間 広がるばかり
Kissをしたり 抱き合ったり
多分それでよかった
あたりまえの 愛し方も
ずっと忘れていたね
信じ合える喜びも
傷つけ合う悲しみも
いつかありのままに
愛せるように
Time goes by…
「時が過ぎれば、かつて愛し合った日のことをきっと美しく思い出せる」…
テレビでもよく流れていたし、カラオケでもよく歌われていた…
ヒットしていた頃は、メロディーやサウンドにばかり気を取られがちでしたが、タイトルの通り「時代が過ぎて」改めて鑑賞すると、歌詞のメッセージの味わい深さを感じ取ることが出来ます。
「信じ合える喜びも~」で伸びやかな高音を披露、リフレイン後にはさらにキーを半音アップして歌い上げているヴォーカル・持田香織の透明感ある歌声も、この作品の大きな魅力でした。
まだトシをとったと言うには早すぎるのに、なぜ歌手の「生命線」である喉を壊してしまったのか、本当に残念です…