ドラマ・CMでオフィスの仕事シーンに登場する書類は、なぜ「企画書」ばかりなのか?
テレビドラマやCMで、オフィスでの仕事が舞台になることがよくあります。
その時、業務書類のやりとりとして非常によく使われると感じるのが、
「企画書」という名称。
部下が上司に、
「部長!企画書が完成しました。ご確認下さい」
のような形で手渡す書類です。
「企画」と名が付くと、いかにも「仕事をしている書類」というイメージがあって、しかもスマートな感じがするのかもしれません。
しかし、画面に登場する書類イコールみんな「企画書」であることが、不思議でもありちょっと滑稽でもあります。
確かに、何か新しい仕事を始める時、新規プロジェクトを立ち上げるような時、その実施計画を練る場面はあります。
実際、「〇〇実施計画書」なる書類を作成することもなくはありません。
でもそれは、日頃交わされる書類のほんの一部にすぎません。
そんなことを思うのは、自分自身のキャリアが影響しているのかもしれません。
いくつものセクションがある大規模な会社に新卒で入った場合、自分の希望する部署や赴任地が叶えられることはまずありません。
どういうキャリアパスを描くかの運命は、「会社にお任せ」になるのが普通です。
営業職を希望して入ったのに、実際はデスクワークばかりの内勤だったり。
またはその逆も。
本社勤務を希望していたのに、初めからとんでもない田舎に飛ばされたり。
また、人によって部署異動のパターンも異なります。
入社以来ひとつの部門にずっととどまって、その道の専門家になる「スペシャリスト」型。
いろいろな部署を渡り歩きながら、広く浅く知識を身に着ける「ゼネラリスト」型でした。
先週の記事でも触れたように、私は典型的な「ゼネラリスト」になりました。
具体的な部署名を挙げれば、比較的長らく務めた「経理部」「財務部」のほかに、
「営業企画部」
「〇〇事業部 企画室」
「経営企画室」
「研究開発戦略部」
「製品戦略部」
のような「企画・戦略」の名前のついたセクションを、数年ごとのローテーションで渡り歩いてきました。
では、実際にそこで働いていて、ドラマにあるような
「企画書、完成しました」
「企画案のプレゼンテーションを行います」
のような「華々しい」場面があったかというと、それは皆無ではないけれど、ほんの一部分だと身に染みて感じています。
職場で「企画」と言えば、いわば「何もないところから新しいアイディアをひねり出す」作業。
ニュース寄りのバラエティー番組やドキュメンタリー番組でよく見かける場面。
「商品開発部」チームが、新商品を生み出すまでがオンエアされたりします。
あれの完成形は、具体的な「商品」。
それに対して、「事業の企画・立案」のゴールは、目に見えないビジネススタイルです。
- 新しいビジネスのヒントになりそうなことを、入手できる限りの情報を駆使して調べ尽くす。
- 同じチームの関係者と、まるでケンカでもしているような侃々諤々のディスカッションを行い尽くす。
- データの裏付けとするため、地道で地味な、気が遠くなるほどの作業を積み重ね尽くす。
そんな「泥臭い」ことばかりです。
こうして実体験に照らし合わせて考えると・・・
ドラマで「オフィスの仕事と言えばこれ!」
と、ワンパターンのように繰り返される「企画書」という名の書類のやりとりシーン。
ある意味象徴的ではあるけれど、すごく表面的で薄っぺらなモノに感じられてしまうのでした。