さえわたる 音楽・エンタメ日記

オリジナル作品紹介、歌の解説、ヴァイオリン演奏、言葉の使い方、エンタメニュース、旅行記などについて綴っています

モノマネ受難時代

漫才やコントと一緒にして良いのかよくわかりませんが、お笑いの枠の中で「モノマネ」はひとつのカテゴリーとして存在し続けています。

今ではほとんど聞かれることがなくなりましたが、かつては「声帯模写」といって、人の声や動物の鳴き声を誇張なく真似ることが寄席の一芸とされる時代もありました。

 

今のモノマネは、文字通り本人の形態を忠実に再現するものが基本にはなっていますが、その特徴をデフォルメして笑いをとることの方が優先しているようです。

「似ている度」より「面白度」が求められている気がします。

 

ひとつの芸としては、面白ければそれはそれで良いと思います。

ただ、時代の変化による個人の趣味・価値観の多様化・分散化に伴って、モノマネのターゲットになる「誰もが知る、かつ特徴のある芸能人」が少なくなっているように感じます。

80年代から90年代にかけてコロッケ・栗田寛一・ビジーフォーモト冬樹グッチ裕三)・清水アキラが「モノマネ四天王」として人気を博し、その後も原口あきまさ・神無月・ホリ・福田彩乃など優れたモノマネ芸人が続々と登場しています。

歌マネや喋り方において「ある特定の一人に非常に似ている」という点では、ほかにもたくさんの芸人がいますが、それは「モノマネ」というより「ソックリさん」に近い存在。

彼らの中で、その「似ている度」や持ちネタの幅広さにおいて、モノマネ界のトップタレントはコロッケではないかと思っています。

 

モノマネの時に使われる一番のフレーズと言えば、何と言っても「こんばんは。森進一です」のひと言に尽きるでしょうが、誰もが知るタレントを忠実に再現するだけでなく、厳密には声は似ていないけれど、特徴を大げさに表現することで(時にはその格好だけで)、本人が怒る(?)ほどの笑いをとる、それが彼の芸の真骨頂ではないかと思っています。

 

今回代表的に彼の名を挙げましたが、第一人者であるコロッケでさえも、今の時代ネタを開発し人気を持続する難しさを痛感しているのではないかと感じます。

同じことをずっとやっていると飽きられる面ももちろんありますが、それよりも「ターゲット」探しの方が大変ではないか、と。

いくら似せても、その「本人」が万人に知られている存在でなければ、どれほど似ていても共感や笑いは起きない。


特徴ある芸能人の減少…モノマネ受難時代を感じさせます。