国内で「中部地方」の扱いだけが揺れ動いている
昔、学校で地理の時間に、日本には8つの地方区分があることを学びました。
北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州沖縄の8つ。
行政機関も会社の支社・支店網も、おおむねこれによって区分されていることが多いです。
地政学的にも経済的にも、ほとんどの地域はこの区分で成り立っているのですが、唯一揺れ動いているのが、「中部地方」の扱いです。
本州の中で最大の面積を占め、中央に高い山脈を抱えているせいもあってか、状況によって中部地方が分断されることがよくあります。
よく聞かれるのが、「中部地方」とひとくくりにせず、さらに甲信越・北陸・東海と3つに区分されるケースです。
中でもいちばん耳にするのが、全国の天気予報の時。
天気は地形によって大きく違いますから、中部地方とまとめてしまうのではなく、より細かく伝えようとの配慮から、上記の3つごとに予報を示しているのでしょう。
この場合、甲信越3県と北陸3県は中部地方のままで問題ないのですが、東海とした場合、もともと中部地方の県である愛知・静岡・岐阜に加えて、三重県が含まれてきます。
学校で習った時は、三重県は間違いなく近畿地方だった記憶が鮮明に残っています。
でも、いつからか中部地方に変更になったのかもしれません。
そのため、近畿地方は三重県を除いた「2府4県」との認識が定着しています。
近畿ローカルの天気予報でも、三重県は除かれています。
三重県は、「おくにことば」的には名古屋弁より関西弁に近いイントネーションですが、経済的には名古屋圏とされることも多く、近畿に住んでいた時も、三重県は近畿ではないイメージが強かったです。
もう1県扱いが時々ぶれるのが、山梨県です。
通常は「甲信越」の1県として中部地方の一員なのですが、地域区分を「関東」でなく「首都圏」と呼ぶ場合、地理的要因からか時々関東地方に編入されることがあります。
この時、首都圏は「1都7県」になります。
本来の関東1都6県は、広く関東平野でつながっているのでひとつの地域という印象がありますが、東京から山梨へは山を越えて行くためか、関東ではないイメージの方が強いです。
静岡県も、たまに微妙な立ち位置になります。
静岡市を中心とする東部は、地理的にも文化的にも「関東」意識が高い。
関東地方の天気予報に、東部の伊豆地方だけ含まれたりします。
対して、浜松市を中心とする西部は、(浜松市の「県内中心都市」のプライド~静岡市への対抗意識も手伝って)東海文化圏の色合いが強くなります。
日本人誰しも、生まれ育った土地への愛着や誇りは強いもの。
地元の方々は、どのような感覚なのでしょうか?
私が地理に興味があって気になるだけで、そもそも日常で「〇〇地方」など改めて考えたりしないのかもしれませんね。