【懐かしい歌No.89 漢字1文字のシンプルなタイトルに深み】「奏(かなで)」スキマスイッチ(2004)
1999年、ヴォーカル・大橋卓弥とピアノ・常田真太郎によりユニット結成。
2003年にメジャーデビューしています。
ユニークなユニット名
「スキマスイッチ」
の由来は、常田の住んでいた部屋で偶然目に入った窓の「隙間」と、電気の「スイッチ」から誕生したと言われています。
2004年、2枚目のシングルとして発表されたのが
「奏(かなで)」。
ユニット名同様、過去に例を見ない珍しいタイトルに、まず注目しました。
(ブログ同様、タイトルは重要ですね…)
その「正体」は…
アコースティックギターとピアノ・ストリングスがバランス良くミックスした、シンプルかつ美しい音色に乗せて、別れのシーンを切々と歌うバラードナンバー。
一気に心を奪われ、当時アタマの中がヘビーローテーション状態になったのを思い出します。
セールス実績で言えば、翌2005年に発売され、今年も映画主題歌に起用されるなど、彼らの代表作となった軽快なポップチューン、「全力少年」の方が有名でしょう。
確かに明るく爽やかで好きではあるのですが、心への響き方が違いました。
「紅白」には3回出場していますが、初出場時に「全力少年」が歌われ、3回目の時に時代を逆戻りする形でこの「奏」が披露されています。
さて、この曲。
1番冒頭から、「舞台となる駅前の映像」と「別れに際しての主人公の胸痛む心情」がクリアに描かれているのが、なんとも印象的です。
歌詞(1番)
<Aメロ>
改札の前 つなぐ手と手
いつものざわめき 新しい風
明るく見送るはずだったのに
うまく笑えずに君を見ていた
<Bメロ⇒サビ>
君が大人になってくその季節が
悲しい歌で溢れないように
最後に何か君に伝えたくて
「さよなら」に代わる言葉を僕は探してた
ワンコーラスでそこそこの「文字数」があり、ストーリーを紡ぐ言葉は足りているような気もしますが、楽曲構成上がA-Bだけのせいなのか、最初に聴いた時「これだけで1番が終わってしまうのか?」との感触もありました。
ところがそんな「懸念」は、最後まで聴くと無事に解消されます。
2番まで終わったところで現われる、まったく別のメロディー・Cメロ。
この一節で、歌詞もメロディーも一気にヒートアップします。
そして、再び戻ってきたサビフレーズでは、キーが一気に「+3」にアップしての「熱唱」でエンディングを迎えます。
1番・2番がやや「抑えめ」のように感じたのは、後半にこうした「仕掛け」を用意していたからだったのか、と納得させられます。
<Cメロ>
突然ふいに鳴り響くベルの音
焦る僕 解ける手 離れてく君
夢中で呼び止めて抱きしめたんだ
君がどこに行ったって僕の声で守るよ
<サビ⇒変形繰り返し>
君が僕の前に現れた日から
何もかもが違く見えたんだ
朝も光も涙も歌う声も
君が輝きをくれたんだ
抑えきれない思いをこの声に乗せて
遠く君の街へ届けよう
たとえばそれがこんな歌だったら
僕らは何処にいたとしてもつながっていける
抑えきれない感情を「奏でる」
それが、タイトルに込められた意味だったんですね…