【懐かしい歌No.95 トレンディー⇒大物女優のアイドル時代の代表作】「セクシー・バス・ストップ」浅野ゆう子(1976)
本日、ブログ開設後2度目の誕生日を無事に迎えることが出来ました。
9月5日に、くしくも連載No.95。
本日選んだのは
「あの有名女優」にもこんな時代があったのだ…
そんなお話です。
アイドルとしてデビューした歌手が思うようなヒットを残せなかった場合に、よく使われる「決意表明」コメントが、
「これからは、女優として頑張って行きます!」
というもの。
そんな時、偏見かもしれませんが、
「歌がダメだったら、1本でもドラマに拾ってもらえれば『女優』を名乗れる」
のような雰囲気を感じてしまう時があります。
それで長い期間実績が残せるほど、女優業は甘い世界ではありません。
浅野ゆう子が「アイドル歌手」出身であることは、もはやほとんど知られていない事実でしょう。
上記の例のように、歌手としては目立った実績を残すことはありませんでした。
当時の女性アイドルは「お人形のように小柄で華奢な可愛らしさ」が受け入れられやすい時代でした。
そんな中、デビュー時中学2年生でありながら、スラリとした長身と抜群のスタイルがチャームポイントだった彼女の姿は、アイドルの範疇には収まらなかったのかもしれません。
しかし、女優転身後の活躍ぶり・人気は、改めて言うまでもありません。
キャリアを重ねた現在、もはや芸能界において押しも押されもせぬ地位を確立し、女優として「大物」の冠が付くほどの堂々たる貫禄を示しています。
1990年代に大流行した「トレンディードラマ」の立役者の一人でもあります。
今日取り上げるのは、彼女の歌手時代の代表作と呼べる「真に懐かしい歌」
「セクシー・バス・ストップ」
です。
1974年にデビューし、その年の新人賞「候補」にはなりましたが、トップレベルの活躍ではありませんでした。
(直前の1973年も、直後の1975年も「新人豊作」の年でしたが、この年はなぜか「端境期」になっていました)
その後2年間ほどコンスタントに新曲は出していましたが、大ヒットには恵まれず。
8枚目のシングルにして作家陣を入れ替え発売したところ、人気に火がつきました。
オールディーズのアメリカン・ポップスを思わせるようなサウンド。
当時洋楽にも一般的に見られた「Aメロ-Aメロ-Bメロ-Aメロ」のスタンダードな構成です。
最初に聴いた時、以前流行った洋楽の日本語カバーか?と思わせるようなテイストを感じました。
作者のクレジットを見ても、「作曲:Jack Diamond」とある。
知らない名前だけれど、きっとアメリカの作曲家なのだろう、と。
ところがその名は、昭和歌謡の第一人者たる「巨匠」作曲家、筒美京平の別ペンネームであることが判明。
70年代・80年代を中心に、数えきれないほどのトップアイドルの楽曲を手がけた彼が、浅野ゆう子を「歌手として再生」させた1曲でした。
彼女のシングルの中で、最高ランクを記録しています。
もともとは歌にする予定がなく、インスト用として作られたものに、後から歌詞を付けて仕上げたこともわかりました。
出だしのメロディーは、キャッチ―で覚えやすい。
展開するBメロは、ちょっと早口の歌詞とバックコーラスとの「掛け合い」が面白い。
いずれにしても、よく計算された楽曲です。
と共に、今になって改めて聴き返すと、当初は歌うために作られたわけではなかった曲を、当時16歳にしてオトナっぽく歌いこなす、ハイレベルな歌唱力を持っていたことにも気づきます。
歌詞冒頭に登場する「ジュークボックス」を知る方も、いまや少ないかもしれません。
こんな形の箱の中に黒いシングル盤レコードがたくさん収納されていて、前面のボタンを選ぶと、レコードが移動して演奏が始まる…
いわば「楽曲の自動販売機」です。
1回50円くらいだったかな?と記憶しています。