【懐かしい歌No.59】「愛をこめて花束を」Superfly(2008)
もともとは、ヴォーカル・越智志帆とギター・多保孝一のユニット名だったSuperfly。
今は越智のソロプロジェクトとして、そのままアーティスト名になっています。
2007年に「ハロー・ハロー」でメジャーデビューした彼女が、翌2008年に4枚目のシングルとして発売、Superflyの名を全国区にした作品です。
現時点で最大セールスを誇る、彼女の代表作になっています。
ここ数年リリースのシングルもコンスタントにトップテンにはチャートインしている、国内有数のソロアーティストの一人と言ってよいでしょう。
前クールのNHK朝ドラ「スカーレット」の主題歌歌手でもあります。
「はやり歌とともに」のカテゴリー内で歴代の「ソロアイドル史」を連載していた裏には、真のヴォーカリストと呼べる歌い手を求める気持ちがあり、以前もその旨を記事にしました。
彼女のパワフルで声量のある歌声は、まさにそんな願いを実現してくれるものです。
出だしのAメロは優しく静かに、Bメロで少し盛り上がって、タイトルフレーズのサビで一気に歌い上げる…
「バラード」の基本的要素が、忠実に実現されています。
また、タイトルフレーズ
「愛をこめて花束を 大げさだけど受け取って~」
から始まるサビの高音部は、通常の女性歌手ではファルセット(裏声)にシフトしてしまう音域まで及んでいます。
ラストで「+2」分キーが上がった後は、なおさらです。
しかし彼女の場合、ここも地声で軽くクリアしており、聴いていてまったくムリがありません。
メロディーの構成的に見ると、「ワンコーラス全体を通して音符の数が多い」のが特徴です。
通常(バラードナンバーでは特に)、たとえば冒頭Aメロで言葉を詰め込んだ場合、サビでは長い音符で声を伸ばして歌うように作られている。
または、サビにたくさん細かい音符がある場合は、最初は音数を少なめにする。
そうしたコントラストを演出するのが「常道」なのですが…
この曲の場合、どこを切り取っても「言葉が多い」。
それでも、ワンコーラスの中でちゃんと「メリハリ」が付いているのが素晴らしいです。
過去連載してきた含めすべて、「聴いて心地良い&自分でも歌いたい」が選曲のポイントになっているのですが、この曲はメロディーラインがかなりハイレベルかつ音域も広く、カラオケで歌いこなすのにはかなりのパワーとテクニックが要ります。
5年前の紅白初出場の際披露されたパワフルな元気ソング「Beautiful」のようなタイプの曲も好きですが、個人的にはこの曲のようなバラードがしっくりきます。