「二枚目」「三枚目」の表現は今でもある(もはや死語?)。では「一枚目」「四枚目」はあるのか?さらに…
日常会話の中で「二枚目」「三枚目」という言葉は、かつてよく聞いたり使ったりしました。
しかし、「二枚目」を含め「ハンサム」「美男子」など、男性のルックスを称える言葉の数々は、いまやほとんど死語となりました。
「あのオトコ、ハンサムだねぇ!」
「彼は美男子だから!」
なんて会話は、かつて普通に交わされていました。
それが今は、すべて「イケメン」に統一されてしまっています。
意味は通じるけれど、日本語のボキャブラリーが乏しくなってしまったようで、ちょっと寂しい気もします。
まぁ、言葉はどうあれ、自分自身がもともとそういう世界とはまったく無縁なので、その点では別にどうでも構わないのですが…
一方、「三枚目」という言葉さえも、現代ではほとんど聞かれることがなくなったような気がします。
今風に言えば、「お笑い系・天然系」。
少しカッコよく言えば、「盛り上げ役・ムードメーカー」?
「二枚目」「三枚目」があるのなら、表現として「一枚目」「四枚目」という言葉もありそうです。
その前に…
もともと「〇枚目」の表現は、歌舞伎の役柄に由来しています。
ですから、男性にしか使いません。
芝居小屋の入り口のところに、出演者を絵に書いた看板が並べられ、その順番が役柄・キャラクターをそのまま表していました。
その看板の
「二枚目」にかかっていたのが、今で言うイケメン役。
「三枚目」がお笑い役だったのです。
では、実際に「一枚目」「四枚目」という言葉は存在するのか?
「一枚目」とは、最初に掲げられていることからもわかるように、「主役・中心人物」を指します。
文字通りの意味と捉えることも出来るでしょう。
しかし、だからと言って少なくとも現在、会話で「あの人は一枚目だ」という表現は聞いたことがありません。
強いて言えばですが、今でも「主役」を意味する表現としてたまに使われるのが、
「あの人は会社の一枚看板だ」的な言い方。
「花形役者」「トップアイドル」的存在です。
「四枚目」になると、もうあてはまる役柄がない気もしますが…
もともとの歌舞伎では、「全体のまとめ役」的存在。
今風に言うなら「バイプレーヤー」「名脇役」「縁の下の力持ち」役、ということになります。
おまけで言うと、「二・五枚目」なる言葉もあります。
(「かつてはあった」と言った方が正しいかもしれません)
こちらは、ルックスが「二枚目」なのに、性格が「三枚目」の人。
今風に言えば、見た目はイケメンなのに、性格が天然(もしくは「残念」」)な人。
それぞれの「〇枚目」はそれなりの特徴がありますが、これだけはちょっと言われたくないですね。