【懐かしい歌No.56】「永遠」ZARD(1997)
坂井泉水(1967-2007)の事実上のソロプロジェクト、ZARD。
1990年代前半の音楽シーンを席巻した「ビーイング系」と呼ばれる一人です。
坂井は、20代前半まではモデルやレースクイーンとして活動していましたが、1991年、自身によるソロプロジェクト「ZARD」のヴォーカルとして、歌手デビューを果たします。
以来、
「揺れる想い」
「マイ・フレンド」
など、多くのヒット曲を生み出しました。
ビーインググループでは、女性アーティストのメディア露出を極力抑える戦略がとられていたことにより、プロジェクトとして大ブレイクしたあとも、ほとんどマスメディアに登場していません。
テレビで曲が紹介される時のバックの映像は、いつも同じ。
それだけ「残されているものが少ない」ということなのでしょう。
また、ライブもほとんど行われなかったようです。
1993年の「負けないで」がセールス的にはナンバーワン。
確かに、タイトルのメッセージがストレートに反映された、元気の出る良い作品ではあります。
ただ、毎年恒例の「あのテレビ」の「あの名物(?)コーナー」で流れる歌、というイメージがあまりにも強く付き過ぎてしまった感もあります。
それがゆえの代表作か、と。
そう考えると、「ZARDには、ほかにもたくさんイイ曲はあるのに…」とつい思ってしまいます。
個人的に、その筆頭格に挙げたい歌。
それが、1997年に発売された「永遠」です。
これも、オリコン初登場1位を果たしたロングヒット。
ZARDには珍しいバラードタッチの作品です。
当時、映画・テレビドラマ共に話題を呼びブームとなった「失楽園」のテーマソングでもありました。
メロディーライン上の一番の特徴は、Aメロ・Bメロ・サビ(Cメロ)のキーがすべて違うという点。
より細かく言えば、出だしのAメロは「ロ長調」。
中間部のBメロは「ニ長調」。
サビでは再び転調して「ホ長調」。
実に複雑な転調が施された作り方です。
しかし、それらを音楽的にうまくコントロールすることで、「サビ」がクリアになり、一気に展望が開けるような、効果的な演出につながっています。
バックのサウンドも、最初は抑えめに、メロディーの進行とともにだんだん楽器が加えられて、サビで盛り上がるように工夫されています。
さらに、2番では強力なドラムやヴォーカルのコーラスが加わって、一層の盛り上がりをサポートしています。
今こうして「歌声」は残っていますが、生で「歌う姿」を見ることは出来ません。
公式のMusic Videoにおいても、顔が真正面からアップで映されているシーンはありません。
「永遠」に「神秘の存在」となってしまいました。