【懐かしい歌No.79 バラドルの女王が初々しいアイドルだった頃のデビュー曲】「瞳の誓い」井森美幸(1985)
過去記事で触れたように、「アイドル全盛」時代と呼ばれた1980年代。
その中でも、1985年は女性アイドルの「当たり年」でした。
錚々たる顔ぶれの中に、
「井森美幸という『正統派』アイドル」
も含まれていました。
前年の「ホリプロスカウトキャラバン」 でグランプリを獲得した、いわばアイドルの王道。
当然、プロモーションにも力が入っていました。
デビュー曲のタイトルは
「瞳の誓い」。
さすが応募数10万人を超えるオーディションを勝ち抜いただけのことはある、ショートヘアの似合う「美少女アイドル」と言ってまったく差し支えないルックスです。
歩く速さよりちょっと速いくらいの、ほど良いミディアムテンポ。
4ビートがしっかり刻まれており、手拍子をしながら応援するのにちょうどイイ感じです。
全体的な曲調も、いかにもアイドルらしいポップチューンです。
作詞:康珍化、作曲:林哲司という、当時の売れっ子作家による楽曲でもあります。
しかし、並み入る強大なライバルたちを前に、当時権威のあった「賞」レースに参戦出来るほどのヒットには結びつかずじまい。
結局、歌手としてのシングル盤発売はわずか6枚で実質終了しています。
通常であれば、「あの人は今」でしかその姿を見ることはない存在になってしまうところでしょう。
ところが、彼女が「本領を発揮」するのはその後でした。
ほぼ同じ時期にデビューした山瀬まみ・森口博子・松本明子らと共に、女性アイドルでありながらバラエティー番組での三枚目役もこなすタレントを指す当時の新語、
「バラドル」
の先駆者のひとりとなったのです。
可愛くもてはやされるアイドルとしてのデビューを果たしながらこうした「転身」を迫られたことを、本人がどう思っていたかは知る由もありません。
しかし、浮き沈みの激しい芸能界において独自のポジションを確立し、今年でデビューなんと35年。
いまや大ベテランのタレントです。
単なる「おバカ」では、決してこんなに長続きはしません。
大した才能の持ち主だと心から思います。
今も「テレビを付ければ、必ずどこかのバラエティー番組には出演している」。
当時のアイドルには、デビュー時に「キャッチフレーズ」なるひと言が添えられるのが「お約束」でした。
彼女につけられたのが、
「井森美幸16歳、まだ誰のものでもありません」。
<オマケ>
ホリプロ・タレントスカウトキャラバンにおけるダンスのオーディション時の映像。
これも現在、デビュー時のキャッチフレーズとともに、何かの折に必ずお笑いの「イジり」のネタとして扱われる「名物動画」になりました。
まだまだ、その活躍は続きそうです。