【懐かしい歌No.88 超・社会現象を起こした伝説の2人組】「うたかた」ピンク・レディー(1980)
歌の世界にとどまらず、世の中に「瞬間最大風速的」に影響を及ぼした
「ピンク・レディー」
という「社会現象」があった…
それが現在どの程度記憶されているのか、もはや想像がつきませんが、ひと言
「一大ムーブメント」
を起こしたことだけは事実です。
コンビとしての活動期間は、1976年8月から1981年3月までのわずか4年半。
そのうち、オリコン1位を獲得し続け活躍が絶頂だった時期は、1977年から78年にかけての、わずか2年間ほどでした。
しかし、デビュー曲の「ペッパー警部」から
「SOS」
「カルメン'77」
「渚のシンドバッド」
「ウォンテッド(指名手配)」
「UFO」
「サウスポー」
「モンスター」
「カメレオン・アーミー」
と続く一連の大ヒットは、まさに「ピンク・レディー旋風」と言って過言ではありません。
「UFO」ではレコード大賞も受賞。
発売から40年以上経ってなお「UQモバイル」のCMソングに使われている。
その元歌であることすら、もはや知られていない事実かもしれません。
その後、ニューミュージックの台頭や80年代の新しいアイドルブームに押され、国内での人気は急落。
それまでの女性アイドルのファンが主に若い男性だったのに対して、彼女らの支持者の多くは「小学生」だった、という特徴が影響していたのかもしれません。
米国進出を試み、現地で一定の成果を得るも、日本ほどの人気は望むべくもありません。
再び日本での活動を目指しますが、残念ながら往時の人気を取り戻すことはありませんでした。
彼女らは、ユニットの人数は違いますが、ほぼ同じ時期に活動した
「キャンディーズ」
と比較されることがよくあります。
キャンディーズの活動期間も、くしくも5年弱。
トータルのセールス実績的には、上述した大ヒット曲を連発したピンク・レディーの圧勝です。
しかし、レコードセールスの「記録」的にはピンク・レディーに及ばずとも、キャンディーズには「記憶に残る」ヒット曲がいくつかありました。
代表的なところで言えば、
「年下の男の子」
「春一番」
「暑中お見舞い申し上げます」など。
そして、ピンク・レディーが怒涛の快進撃を続けていた1977年の夏、キャンディーズは
「普通の女の子に戻りたい!」
の印象的なセリフとともに解散宣言。
くしくも、ピンク・レディーが「UFO」と「サウスポー」で自身ピークのセールスを記録していた頃、その間隙をぬって発売された17枚目のラストシングル「微笑み返し」で「最初で最後の1位」を獲得し、人気絶頂期の1978年4月、当時の後楽園球場でコンサートを開き、グループ解散をしたのでした。
「有終の美」を地で行くような、ドラマチックな解散劇でした。
(ただし、感動的だったのはそこまでで、その後やはり「普通の女の子」に戻れなかった彼女らは、それぞれソロで芸能界に戻ってくることになるのですが…)
一方のピンクレディー。
現役活動中の発売シングルは、キャンディーズを上回る22枚。
ただ、前半の10曲が超破竹の勢いだったのに比べ、後半はアメリカ活動中の英語詞の曲や、海外の作家による楽曲の日本語訳詞の作品が続き、ほとんど知られていません。
そして、キャンディーズの解散から3年後の1981年、くしくも同じ後楽園球場で解散コンサートを開いたピンク・レディーの姿は、まったく対照的で痛々しかったです。
暖かさを感じ始める春3月の白昼だったのに、この日は肌寒い「涙雨」。
「天にも見放されたか?!」と、なんとも悲しい結末だったことを覚えています。
解散後、ミーはソロ歌手・MIE(未唯)として「NEVER」がヒット。
ケイもやはりソロ歌手・増田恵子(けい子)として、中島みゆき作品「すずめ」をヒットさせます。
その後、節目節目で「再結成」を繰り返し、二人で往年のヒット曲を歌う姿も見られます。
今日取り上げた1曲は、往年の大ヒット曲ではなく、
「うたかた」
現役での活動末期に発売された19枚目のシングルです。
冒頭クレジットにもあるように、アメリカ活動中に発売されたアルバム収録曲に日本語詞を付けたものです。
80年代の洋楽テイストあふれる「ライト・ディスコ」調のアレンジは、クリアな4拍子。
「小学生のアイドル」から「オトナの歌い手」に脱却するにはお似合いのイメージ。
彼女たちの代名詞だった、印象的で派手な振り付けもありません。
メロディーも比較的親しみやすく、キャッチ―なサビも用意されていて、楽曲としてのクオリティーは決して低くはありません。
しかし、時代の流れと共にいったん失われた「ピンク・レディー・ブランドという栄光」を取り戻すことは出来ませんでした。
「でも私は忘れない」
そんな1曲です。
(ちなみにサビフレーズでは、原曲タイトル「Strangers when we kiss」と歌っています)