「目は口ほどに物を言う」を、ことわざの意味とはちょっと別の角度から解釈してみた
「目は口ほどに物を言う」
ことわざとして、広く使われています。
改めて意味を確認すると、
- 目は、言葉で説明するのと同様に、相手に気持ちが伝わるもの
- 言葉に出さなくても、目の表情で相手に伝えることができる
- 言葉でうまくごまかそうとしても、目に本心が表れるもの
目つきは、感情を強く表わすものだと解釈できます。
ことわざの由来としても、
人が喜怒哀楽の感情をとても顕著に表すのが目だということから、何も発言せずとも、目つきから相手の感情がわかるものだ、とあります。
確かに、目つきから感情を読み取ることは出来ます。
「目は心の窓」とも言われているくらいですし。
顔の中で、表情を示す最強のパーツは「目」ということになりそうです。
しかし、この場合
「目」は文字通りの目ですが、
「口」とは「しゃべる言葉」
の意味で用いられていることがわかります。
「口」や「くちびる」の形そのもの、ではないのです。
目が仮に最強とした場合…
目「だけ」で本当に感情を読み取れるものなのか?
目と同じように、
口の形も、案外疎かにできないのでは?
と思うことがあります。
たとえば、このイラストの場合。
「絵」ですからピンと来にくいですが、ホンモノの人間だと想像してみて下さい。
で、この人の喜怒哀楽を判断する。
涙でも流していれば「哀」だろうと容易に想像がつきますが、口の部分を隠した状態で、目「だけ」で「喜」「怒」を判断するのは、意外に難しいものです。
口の部分が見えていて、口が開いて歯が見えていれば、絵であっても「笑っている」と瞬間でわかります。
ヨコ真一文字やヘの字であれば、「怒っている」とこれまたすぐわかります。
今度は、この目隠し顔のイラストの場合。
いかがでしょう?
口が開いているので、「笑っている」とすぐわかります。
もし口が閉じていて、くちびるをかみしめていたら、目の部分は関係なしに「怒っている」ということになるでしょう。
そう、先ほど「口の形も、案外疎かにできないのでは?」と言ったのは、イラストにあるように「マスクをつけている人と話す」状況でのことなのです。
昨今は、相手も自分もお互いマスクを付けて対面することが通常になってしまっています。
ほかにも、体調不良もしくは何らかの作業の都合で、マスク姿になることがあります。
「最強の感情発揮パーツ」であるはずの、「口ほどに物を言う」目は出ているのですから、もしことわざ通りだとすれば、目さえ出ていればOKのはずです。
しかし実際のところは、
マスクで顔の下半分を隠した人と話すと、いまひとつ表情や裏に隠れている感情が読み取りにくい。
仕方ないこととは言え、正直やりづらいです。
こちらの気持ちも、うまく伝わっていない面があります。
人の気持ちを見てとるに際して、目は「最強」ではあるかもしれないけれど、「唯一」「万能」ではない。
昨年までは特に意識していなかったことが、最近になってとても気になるひとコマでした。