【懐かしい歌No.69】「キャンディ」原田真二(1977)
デビュー当時、まだ18歳。
そして、このルックス。
最初、またジャニーズの新人タレントが出て来たかと思いました。
当時、「月刊明星」というアイドル雑誌がありました。
そこでの新人オーディションに自作曲で応募。
デモテープは、みずからピアノやギター・シンセサイザーをこなし、多重録音までひとりでやってのける、10代にして天才的な才能を思わせるもの。
それが主催者の目に留まり、デビューのきっかけになりました。
アイドルでなくても、ルックスはイメージアップにつながる大きな武器です。
加えてこの甘い声。
ちなみに、この年のレコード大賞は沢田研二の「勝手にしやがれ」。
郷ひろみ・野口五郎・西城秀樹の「新・御三家」が活躍していたピークでもありました。
ピンクレディーが「旋風」を巻き起こしていました。
伝説のアイドル、山口百恵がヒット曲を連発していました。
「アイドルソング」全盛でしたが、現在のグループアイドルとは「存在感」がまったく違いました。
そんな時代です。
そうした中、原田真二には彼らを吹き飛ばすほどの「違ったカラーの」人気がありました。
本人の意向とは裏腹に、世間は当初「ニューアイドル」の誕生ともてはやしました。
「若い歌手、イコールアイドル」の図式です。
しかしだんだん注目されていったのは、自ら手掛ける曲の、洋楽を思わせる斬新な音楽性。
「日本のニオイのまったくないメロディー」とも評されました。
デビュー曲の「てぃーんず ぶるーす」が発売されたのが1977年10月。
そしてこの「キャンディ」の発売が11月。
3作目となる「シャドー・ボクサー」が12月。
時代が下ってからは珍しくなくなった「毎月・毎週連続発売」。
しかしこの当時、「3ヶ月連続レコードリリース」など前代未聞。
デビュー間もない新人となれば、なおさらです。
しかも、その3曲が同時にオリコンベスト20入りするという、日本音楽史上初の快挙を達成しました。
立て続けのリリースになったのには、どれも楽曲的に素晴らしい出来で、どれをデビュー曲にしようか迷った、という「制作サイドのゼイタクな悩み」があった、と言われています。
確かに、3曲聴き比べてみると頷けます。
その中で最も親しみを感じたのが、この「キャンディ」。
全体的には、どこかビートルズの「ミッシェル」を連想させるような、今となってはノスタルジックなサウンドです。
冒頭の「キャンディ I love you」の「love」に当てられた音符には、半音アップのシャープが付いています。
後半の歌詞の「さむいこころ」のメロディーの流れにも、シャープが使用されています。
実に細かい点ですが、こうした動きは当時の邦楽には見られない響きがありました。
本人は「シンガーソングライター」として作詞も手がけますが、このシングルの作詞は作詞家:松本隆が担当しています。
「キャンディ」を作るかと思えば、「木綿のハンカチーフ」も作る。
「赤いスイートピー」と作るかと思えば、「ルビーの指環」も作る。
そんな変幻自在の「天才作詞家」の貢献も大きい楽曲です。