録音された自分の声に違和感を覚えることはありませんか?原因は「気導音」と「骨導音」の違い
何らかの機会があって、人と話している自分の声を録音し、スピーカーを通して聞いた時、
「アレ?自分の声ってこんな声だったのか!?」
と驚いた経験はありませんか?
にわかには信じられないが、しゃべり方を聞く限り、まぎれもなく自分の声には違いない。
しかし、自分がふだん聞いている声とは明らかにまったく違う!
それを初めて耳にした時の違和感はハンパない!
たいてい、「もっとイイはずなのに…」と思ってしまう。
ですから、違和感というより「衝撃」に近いモノがあるかもしれません。
真の自分の声は、自分自身で正しく?聞くことが出来ていないことになります。
その理由は?
口から出た音は、空中を通じて両耳に到達します。
この空気が伝わった音は「気導音」といいます。
一方自分の中では、自分が声を出した時の声帯の振動が頭蓋骨を通じて直接的に伝えられる「骨導音」も、同時に耳に伝わります。
自分のカラダの中が、一種の「スピーカー」状態になっているのですね。
(「骨伝導」という言葉をお聞きになったことがあるかと思います)
自分自身は「気導音」と「骨導音」の両方がミックスされた声を聴いているわけです。
ところが、相手の人にはこの「骨導音」の部分が届かず、「気導音」だけを聞いていることになります。
機械で録音された音も、これと同じように「気導音」のみです。
この結果、自分が認識している自分の声と、他人が聞く音や録音された音とはかなり異なる感触になってしまうのです。
私もこの違和感が嫌悪感に近いほどひどくて、悩みました。
「え?!これが自分の声?こんなはずではない!」と。
でも、悩んでもどうにもならないので、慣れるしかないと割り切りました。
これが話し声ではなく「歌声」であれば、不思議なことにあまり気にならないのです。
スタジオで、あるいは自宅のパソコン前でのレコーディング現場では、自分が発した歌声が、ヘッドフォンを通じて耳に入ってきます。
マイクを使うと、上記の「気導音」だけが聞こえてくる。
つまり、相手が聴いている声=自分の本来の声の状態に少しだけ近いものになるようです。
日常的にそれを行っていると、少なくとも歌声に関しては、自分の声を自然に、客観的に受けとめられるようになってきます。
出来上がったCDや音源データを聴いていても、それほどの違和感を覚えることはありません。
「案外悪くないじゃん!」と思うようにしています。
つい先日も自室でレコーディング作業を行っていて、ふと気づいた話でした。