都区内の住宅地の真ん中に「渓谷」があるなんて!~世田谷区・等々力渓谷
東京都内。
しかも23区内と言えば…
「各駅に繁華街があって、周囲は住宅だらけで、やたら人が多くて…」
といったイメージばかりが目立ちます。
以前の記事でも、さらに都心部では「駅」の両側が開けて繁華街が形成されているのがユニークな特徴であることに触れました。
それだけ「スケールの大きな街」であることは、間違いありません。
一方で、都心部にも大きな公園が多数あります。
意外に「緑の多い街」といった顔も持っています。
皇居や明治神宮・代々木公園・新宿御苑・上野公園などは、その代表格。
実際に地図で確認してみると、「山手線の内側なのに、これだけ緑のエリアがあるとは!」と思うほど、その面積が大きいことがわかります。
そうした有名な公園・緑地になると、大規模でも「あって当然」的なところがあります。
ところが、もう少し目を広げて「都区内全体」で見てみると…
世田谷区の真ん中に、意外な形で存在している緑のエリアがあるのです。
世田谷区と言えば、23区の中で最も人口の多い区。
その数、およそ90万人。
1つの区だけで、地方の大都市を上回る数の人が住んでいるのです。
当然のことながら、人口密度も非常に高い。
数字を言われてもピンと来ませんが、1キロ四方に15000人以上の人がいる計算になります。
住宅はもちろん密集している。
高層マンションは少なく、一戸建ての立派なお屋敷が並んでいるイメージです。
加えて、一部の幹線道路を除き道路が細く曲がりくねっていることで知られる、「タクシー運転手泣かせ」のエリアでもあります。
そんな世田谷区に存在する「異空間」。
それが、等々力渓谷です。
画面上部の赤印が、東急線の等々力(とどろき)駅です。
駅の周囲は典型的な郊外の住宅地になっていることが、航空写真からでもすぐわかります。
その駅の左側に、帯状に緑になっている一帯がある。
そう、駅から「谷底へ降りて」、歩いて本当にすぐのところに「別世界」が開けているのです。
鬱蒼とした緑の木々。
そのすぐ横に、小さな散歩道が数百メートルにわたって整備されている。
ある意味、シンプルな風景ではあります。
ですから、観光客がわざわざ立ち寄るほどの有名・印象的なスポットとは言えないのでしょう。
また地元の人にとっては、すでに馴染みの風景のはず。
いずれにしても、その散歩道を行き交う人の姿はまったくありません。
自分だけ近所で「隠れた名所」を見つけたような、ちょっと得した気分になる「プチ散策路」です。