さえわたる 音楽・エンタメ日記

オリジナル作品紹介、歌の解説、ヴァイオリン演奏、言葉の使い方、エンタメニュース、旅行記などについて綴っています

【懐かしい歌No.46】「マイ・ラグジュアリー・ナイト」しばたはつみ(1977)

しばたはつみ、1952~2010。

 

16歳で「はつみかんな」としてデビュー。

その後改名を繰り返して1974年、22歳の時に「しばたはつみ」として再デビューを果たしています。

 

今でも彼女を覚えている、という方がもしもいらっしゃるとしたら、1977年にクルマ(マツダ・コスモ)のCMソングとしてヒットしたこの「マイ・ラグジュアリー・ナイト」の歌い手として、ではないでしょうか?

この年の紅白にも初出場を果たしています(リンクはその時のものです)。

 

ちなみに、この曲の前振りに名メッセージを発信している佐良直美も、また昭和の名シンガー。

かつ紅白常連の名司会者でもありました。

 

当時NHKでは「国営放送」であることから、CMソングは紅白の舞台では歌わせないルールになっていました。

その慣例を破ったのが、彼女のこの曲でした。

当時、それだけ話題を呼んだ楽曲でもありました。

 

70年代後半から80年代にかけては、CMのイメージソングとして、J-POPの楽曲が起用され始めた時代だった、とも言えます。

 

その中で最も典型的だったのが、化粧品のCMソングでした。

資生堂カネボウ(当時)・ポーラの主要メーカー3社が、おもに春・夏のシーズン前に、ファンデーションやリップの新作を発表。

そのBGMに、当時第一線で活躍していた歌手たちのシングルが多数使用され、商品も楽曲も話題を呼びました。

 

NHKの「規制」は、CM商品名だけでなく「歌詞」にも及びます。

ちょうど同じ頃、山口百恵「プレイバックPart2」がヒットしていました。

冒頭の歌い出しが

「緑の中を走り抜けてく 真っ赤なポルシェ」

なのですが、この「ポルシェ」が具体的な商品名であるため、NHKの歌番組では「真っ赤なクルマ」と変更させられていました。

(紅白では「ポルシェ」と歌っていましたが…)

 

さらに、松本伊代のデビュー曲センチメンタル・ジャーニーでは、この歌の一番のポイントである決めフレーズに

「伊代はまだ 16だから」

という部分がありますが、これまた「伊代」が固有名詞であることから、「わたしまだ 16だから」と歌っていました。

「なにもそこまで~」と思った記憶があります。

 

ところで、この「マイ・ラグジュアリー・ナイト」。

来生えつこ(作詞)・たかお(作曲)姉弟コンビの出世作でもあります。

ゆったりした、ジャジーなムードを持つバラードとして仕上がっており、しばたが魅力あるヴォーカルを披露しています。

 

厳密に言うとタイトルは文法的にちょっとおかしくて、本来は歌詞の通り「マイ・ラグジュアリー・イン・ザ・ナイト」とすべきところですが、そんなことは意識させない圧倒的なインパクトがあります。 

現代ではなかなか聴くことのできない、まさに「オトナのポップス」といった印象です。

こういう人こそが、まさに「プロ」の歌手なのだと思います。

 

ニンゲン中高年になると、みな「演歌」が好みになる…

そんな「大迷信」があります。

ポップスのジャンルがみなアイドルソング・アニメソングに席巻され、オトナが聴いてもヴォーカルの素晴らしさ・楽曲の奥深さをじっくり味わえる歌が出てくる幕がなくなってしまっているだけだと思います。

 

「オトナオトナ」連呼していますが…

彼女は当時25歳。

その若さで、この歌唱力・表現力!

しかも、「紅白」初出場のステージで。

ラストの「Night~」のロングトーンは、圧巻です。

 

メジャーデビューする前から、各地のステージでジャズやR&Bなど、ジャンルを問わず広く歌いこなしており、パワーを持つ歌手だっただけに、早世が惜しまれるところです。

 

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