【かなり懐かしい番組紹介】視聴者参加型クイズ番組の草分け「アップダウンクイズ」
それが、「アップダウンクイズ」です。
参加者6名がそれぞれ「ゴンドラ」と呼ばれる小さな箱の中に座る。
問題に正解するたびにゴンドラが1段ずつ(問題の内容によっては2段、3段)アップし、10問正解するとハワイ旅行と賞金10万円がプレゼントされる、というものでした。
ゴンドラの高さの凸凹が、笑点「大喜利」の座布団の多い少ないにも似て、ビジュアル的なインパクトにもなっていました。
海外旅行がまだ一般的でなかった時代。
ハワイ旅行は「夢物語」の代名詞でした。
また、番組開始当初の60年代前半といえば、大卒会社員の初任給が1万円台だった時代でもあります。
副賞「賞金10万円」はかなりの大金です。
番組のオープニングキャッチコピーは…
「ハワイへのご招待。10問正解して、さあ、ハワイへ行きましょう! ロート製薬がお送りするアップダウンクイズ、私は司会の小池清でございます」
それに続き、小池アナが 「問題を読むのは佐々木さんです」 と紹介。
そしてアシスタントの佐々木美絵が 「皆さん、こんばんは(お元気でいらっしゃいますか)。佐々木美絵です、どうぞよろしくお願いします」。
ここまでが、台本通り一字一句違わぬ、毎回お決まりのセリフでした。
問題は時事ネタが中心。
スペシャルクイズとして、
「シルエットクイズ」(有名人ゲストのシルエットとヒントで名前を当てる)
「目で見るクイズ」
「音楽クイズ」
などがありましたが、いずれも現在のバラエティーにあるような「ボケ」の要素は一切なしの「正統派」番組でした。
かつ、かなりの難問が多く、夢のハワイ旅行のかかったまさに「真剣勝負」でした。
また、不正解が2度になるとゴンドラを出て「失格者席」に座らされ、他の回答者が誰も答えられなかった場合のみ回答権が回ってきて、それに正解して初めてゴンドラに戻れる、という厳しいルールもありました。
この番組で、一番ドラマチックだった場面。
それは、その時のゴンドラの位置がどこであろうと、たとえ9問まで正解し「あと1問でゴール」となった時でも、間違えるとゴンドラが一気にゼロまで落ちてしまう、というもの。
時間の限られている「早押し」方式ですから、回答者はみんな焦る。
焦るがゆえに、この「9問⇒ゼロ」のシーンがけっこう頻発するのです。
本人はもちろん、スタジオの観客席からも、思わず「あ~~!」とため息が出てしまう瞬間でした。
当時は「クイズ・グランプリ」や「タイムショック」など、一般視聴者参加型の「おふざけでない本当の」クイズ番組が華やかな時代でした。
現在そうしたスタイルを守りながら、レギュラーで生き残っているのは「アタック25」ぐらいでしょうか。
テレビを見ながら、一緒になって一般知識を考える「頭の体操」的な番組が少なくなって、ちょっと寂しい気もします。
この画像は、スペシャルで芸能人が回答者になっている回です。
ちなみに、シルエットクイズで出場している「佐藤寛子」とは、佐藤栄作元首相夫人です。
10問正解した立川談志の「心からうれしいのか、ガラにもなく緊張しているのか、恐縮しているのか」わからない表情が、なんとも印象的です。