さえわたる 音楽・エンタメ日記

オリジナル作品紹介、歌の解説、ヴァイオリン演奏、言葉の使い方、エンタメニュース、旅行記などについて綴っています

【懐かしい歌No.42】「大きな古時計」平井堅(2002)

この曲をあえてジャンル分けすれば、「童謡」に入るでしょう。

小さい頃、確かにそうやって歌っていました。

 

しかしこれが2002年、平井堅のシングルとして発売されました。

しかも、J-POPの楽曲と一緒に扱われ、オリコン1位を獲得する大ヒットに。

 

洋楽の日本語訳詞バージョンが日本の楽曲としてランキングに載ることは、決して珍しいことではありませんが、「子どもの歌」と思っていた歌がヒットチャートを賑わすのは、きわめて異例の現象だなぁと感じた記憶が蘇ります。

 

ちゃんとした歌い手が心をこめて歌うと、童謡もこれだけ情感の深い名曲になる…

初めて彼の新曲シングルとして聴いた時、そんなことを感じました。

 

当時CDがそれだけ売れたのも、聴き手が同じような感慨を覚えたからだと思います。

 

このライブステージでも、ギター1本のシンプルなバックだけで、立派に1曲を成立させています。

しかも冒頭はアカペラ。

 

アカペラで歌うのって、実はすごく難しい。

頼りになるバックのサウンドがないので、「ドレミ…」の「絶対音感」がないと歌い出せません。

 

スタジオでのレコーディングでは、普通に伴奏を流した上でヴォーカル部分を録音し、編集の段階で伴奏部分だけを抜いて、結果としてアカペラが作り上げられます。

ライブのステージでも、歌い手がイヤフォンをしていて、そこにはよりどころとなるサウンドが流れており、それに合わせて歌っている。

しかし聴衆にはその音は聞こえておらず、アカペラで歌っているように聞こえる。

それが実際のところです。

 

そうした「裏ワザ」云々を抜きにしても、ただただ素直にスゴイ表現だと思います。

 

詞も含めて改めて味わうと、実に「深い」ものがあります。

そして「悲しく切ない」です。

ちゃんとしたストーリー、ドラマがあります。

「100年休まずにチク、タク、チク、タク」

「おじいさんと一緒にチク、タク、チク、タク」

おじいさんの生命と一緒に、今はもう動かなくなってしまった古い掛け時計。

 

冒頭の歌詞の「大きなのっぽの~」。

幼い頃は、自分のことをからかわれているような感覚でこの歌を聴いていた記憶がありますが、そうしたレベルで味わう歌でないことは確かです。

 

カラオケではシングル盤の音源がベースになっているので、自らアカペラを楽しむことは出来ませんが、少しテンポをスローにして、もちろんジャマなガイドメロディーはOFFにして、自己陶酔しながらよく歌っています。

 

www.youtube.com