「ジャニーズ2組同時デビュー」の結果にガッカリの理由&【懐かしい歌No.39】「濡れた髪のLonely」池田聡(1987)
先週1月22日、「SixTONES」と「Snow Man」の2組が同時デビューしました。
そのPRぶりは、ハンパないスケールでした。
「ジャニーズ史上初」
のフレーズを、昨年来マスメディアで何回耳にしたことでしょう。
両グループの「バトル動画」まで配信される過熱ぶり。
そんな中、常識的に考えて「2組同時デビュー」と聞けば、
- それぞれのグループがデビュー曲を持つ
- それぞれのグループがそれぞれ別のCDをリリースする
- 両者の競争になる
ものと解釈します。
ですから、最初にこのニュースを聞いた時、
「ジャニーズだから、その週のチャートはワンツーフィニッシュになるのだろう」
「ジャニーズならデビュー曲1位が宿命づけられているのに、どちらかのグループは2位発進になってしまうのか」
と思ったものです。
タイプは異なりますが、「Imitation Rain」「DD」、どちらも完成度の高い良い楽曲です。
ジャニーズファンの人たちは、どちらを支持するのだろう?
「エンタメウォッチャー」として、セールス競争=「バトル」の行方を興味深く注目していました。
毎週水曜日はオリコンのウイークリーヒットチャート更新日です。
前日、火曜日の時点でセールス情報が速報されるのですが、そこで知った事実。
発売されたのは、
2組のグループの双方のデビュー曲を収録した、両A面扱いの1枚のCD
であった、ということです。
つまり、上記1.の条件は満たしていたが、2.や3.には当てはまらなかった、というわけです。
どちらのグループもめでたく「デビュー曲1位」です。
「運動会の徒競走で、2人仲良くお手々つないでゴールテープを切る」
がごとき茶番劇に映りました。
最近のヒットチャートには、CDセールス以外の要素もあります。
仮に、個々の楽曲のダウンロードデータが拾えるなら、両者に優劣が付けられるかもしれない。
しかしそれでも、両者とも「デビューシングル1位」という記録は残るのです。
そんなデビュー曲が、発売初週でミリオン達成。
エンタメニュースでは「史上初の快挙」と褒め称えられています。
競争に見せかけて、話題性を煽る。
こんな売り出し方があったのか…
「フェアな競争」が肩透かしを食らった思いで、ガッカリしています。
これだけでも1つの記事になりそうですが、今日のために用意したいつもの「懐かしい歌」がありますので…
本日の主役は、池田聡です。
1986年「モノクローム・ヴィーナス」でデビュー。
クルマ(スズキALTO)のCMソングになったこともあり、デビュー曲にしてロングヒット。
その後も着実にヒットを飛ばす一方、一時期俳優としても活躍しました。
この歌は、デビュー翌年の1987年にリリースされた3枚目のシングルです。
やはり同じCMソングに起用。
「モノクローム・ヴィーナス」が16ビートのどちらかと言うとシャウト系(と言っても、もともと優しい歌声なのですが)な曲調だったのに対し、この「濡れた髪のLonely」は、ミディアムなテンポに乗せて甘い恋心を歌い上げています。
メロディーラインの流れるような美しさも魅力ですが、この曲の最大の特徴は、何と言っても「スウィング」調であること。
今のヒット曲では、ほとんど聞かれなくなったリズムパターン。
「♪ターン、タッタ、ターン、タッタ」(文字ではうまく言い表せないのですが)が続く点です。
サビ頭の「ロ~ンリー」の繰り返しが、耳に心地よく残ります。
自身作詞・作曲するシンガーソングライターでもあるのですが、この曲は他者に作詞・作曲を委ねています。
それが、却って彼のシンガーとしての魅力をうまく引き出していると思います。
発売当初のシングル盤の音源がなく、ステージ画像の方はかなり最近になってからのものと思われます。
しかし、リリース当時とキーも変わらず、歌声は健在どころか、若い頃より艶っぽくなっている印象。
この記事を書こうと思い立って、久しぶりに彼の歌っている姿を見ましたが、イイ齢の重ね方をしているなぁ、と感じました。