社内のトラブル報告時。「言い訳」と咎められないための要領の良い説明手順
会社という組織での仕事上のストレスは、仕事そのものよりも人間関係にアリ…
そんな記事を去年書きました。
その時の結論は「問題となる人と適当な距離感を保つ」だったのですが、現実にはそれだけでは片づけられない。
「面と向かって対処しなければならない」ことの方が多いです。
ある日、部下のAくんがやってきました。
Aくん自身、新人社員Bくんをはじめ何人かの部下を束ねるグループリーダー的立場の人間でした。
顔つきからして、あまり良くない話のようです。
話題は、Aくんの部下に当たる新人社員Bくんが起こしたミスでした。
ただ、私が判断するに、それほど重大なミスとは思えませんでした。
Aくん自身のレベルで解決しても良さそうなレベルのものでした。
Aくんの言い方はこんな風でした。
Aくん「あの~、さえわたるさん、実はちょっと困ったことが起こりまして…」
私「ん?どんなこと?」
Aくん「Bくんのことなんですが…」
私「Bくんがどうかしたの?」
Aくん「Bくんが〇〇のミスをしてしまいまして(以下、経緯説明が長々と続く)…」
私「それで、君はどう対応したの?」
Aくん「えー、それは今Bくんに確認をしてもらっているのですが…」
私「ミスの内容はわかった。私が訊きたいのは、Aくん自身がどう考えて、どうすべきかなんだけど」
Aくん「Bくん。ちょっと…」
Aくんの「言い訳としか思えない釈明」の連続に、珍しくキレそうになりました。
また別のある日。
今度は、Aくんとほぼ同じ立場にある別のグループリーダーであるCくんがやってきました。
やはり、部下のDくんを抱える身でした。
そのDくん、上記のBくんより深刻なトラブルを起こしてしまいました。
Cくん「さえわたるさん、取り急ぎご報告があるのですが、お時間よろしいでしょうか?」
私「(実際忙しかったが、『取り急ぎ』の言葉で緊急事態は察知したので)大丈夫だよ。何があった?」
Cくん「ご厄介をおかけすることになります。申し訳ありません。実は(Dくんの名前は出さずに)〇〇社と××の件でトラブルが起こってしまいました。」
私「(Dくん担当の案件であることはすぐにわかった上で)詳しく経緯を聞かせてくれる?」
Cくん「事情は(かくかくしかじか)です。私としてはこのように対応しようと思っているのですが、どう思われますか?」
そのトラブルは、AくんBくんの件より何倍も深刻で、対応にも大変手間がかかり苦労しました。
しかし、不快な気持ちになることはなく、冷静に事態を解決することが出来ました。
上下関係で動いている組織でのコミュニケーションでは、特に下の者にとっては「理不尽」としか思えないことがたくさん起こります。
どんなにウマが合わなくても、自分から見たらどんなに無能に思える人物でも、上司は上司。
自分の「会社員としての運命」を一手に握られているのです。
上司が「カラスは白だ!」と言ったら、仮に違っていても「はい、その通りです」と言わなければならないことさえあります。
しかし、自分の手に負えない何らかのトラブルが発生した際、それを解決する役目を果たすのは、責任者たる上司なのです。
たとえイヤな相手であっても、「ホウ・レン・ソウ」(報告・連絡・相談)は的確に行われなければなりません。
Cくんにはあって、Aくんにはなかったもの。
- 相手の都合をまず確認する
- 悪い報告ほどスピーディーに行う
- 用件の結論から先に言う
- 責任者の自覚を重視し、まず謝罪する
- その上で、詳細な経緯を説明する
- 可能な解決策を提案する
順番を間違えると、同じ説明であっても「自己保身」「言い訳」に聞こえてしまいます。
Aくんのケースでは、ミスを起こしたのは自分自身ではない。
しかし、それは上司たるAくんの責任でもある。
理不尽と思っても、まずは頭を下げなければならないこともある。
話を聞く上司も血のかよった人間。
誠意をもって話せば、気持ちが通じないことはないはずです。
そして、AくんやCくんからの報告事項は、当然私自身の責任になりました。
Cくんの話の進め方を参考にしながら、上司である経営トップに説明を行ったことは、言うまでもありません。