さえわたる 音楽・エンタメ日記

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「クローズドクエスチョン」の愚問を発するインタビュアー~「はい・いいえ」が自由に回答できないその尋ね方では困ってしまう

すでにご存知のように、質問のタイプには、

「オープンクエスチョン」

「クローズドクエスチョン」

の2つがあります。

 

「オープンクエスチョン」とは…

「はい・いいえ」ではなく、どんな風かを回答者が自由に答えられる質問の仕方です。

たとえば、

  • 明日の会議の準備はどう?
  • アルコール類は何が好き?
  • 趣味は何?

 

<オープンクエスチョンのメリット>

  • 自由に回答出来るので、会話が盛り上がりやすい
  • 想定外の意外なアイディアを発見することが出来る

 

<オープンクエスチョンのデメリット>

  • 回答しにくい内容の場合、答えにつまって話が続かなくなる
  • 親しくない間柄の時には、内容が深く突っ込み過ぎと敬遠されがちになる

 

「クローズドクエスチョン」とは…

回答者が「はい・いいえ」で答えられる質問の仕方です。

たとえば、

  • 明日の会議資料の準備は出来たか?
  • ビールは飲めるか?
  • スポーツは好きか?

 

<クローズドクエスチョンのメリット>

  • 回答が2択なので、答えやすい
  • 質問を重ねることによって、徐々に相手との距離を詰めていける

 

<クローズドクエスチョンのデメリット>

  • 「はい・いいえ」で回答が完結してしまうので、話が続きにくい
  • 聞き手に多様な質問メニュー・テクニックが必要とされる

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 ディスカッションのように、互いが「尋ねる」「答える」の両方の役割を担う場合は、オープン型を主体としながらも、オープン・クローズドの違いをそれほど意識することなく、自由に取り交ぜれば良いと思います。

 

ただし、

インタビューのように「尋ね手」「答え手」がはっきり分かれている場合は、それぞれの違いを意識した上で、対象者からその場に最も相応しい回答を導き出さなければなりません。

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ところが、実際のところは

スポーツ中継でのヒーローインタビューの場面で「クローズドクエスチョン」の「愚問」を連発するインタビュアーを見かけることがあります。

 

よくあるパターンとして、次のような質問が投げかけられます。 

野球選手。

「あの場面で、ホームランが打てると思いましたか?」

サッカー選手。

「残り時間が少ない中で、ゴールが決められると思いましたか?」

力士。

「あの劣勢から、逆転勝ちが出来ると思いましたか?」

 

いずれも「はい・いいえ」の答えを求めるクローズドクエスチョンです。

 

選手たちは、誰しも「勝ちたい」と思って頑張っている。

形勢不利なところを、全力を振り絞って勝った。

 

もちろん、強気な選手であれば、

「はい、一発決めてやろうと頑張りました」

と答えるかもしれません。

 

しかし、たとえば相撲のように上下関係がはっきりしていて、どう見てもたまたま「大金星」がとれたような取り組みの場合に、

「勝てると思いましたか?」

と尋ねられたら、「いいえ」と控えめに答えるしかない

のではないか?と。

仮に「はい」と答えようものなら、「なんだ!格下のくせに思い上がりやがって!」となるのが、「謙遜を美学とするニッポン」の特徴です。

 

俳優や歌手が、何かの賞を受けた場合のインタビューでも、同じ場面が繰り広げられます。

「こんなに素晴らしい賞を獲ることが出来ると思っていましたか?」と。

 

人気商売の彼らは、スポーツ選手以上にイメージが大事。

仮に自信があったとしても「はい、思っていました」とあからさまには回答しにくいものです。

もし「はい」と答えたら、「天狗になりやがって!」と言われること必至です。

 

就職の面接でも、同じような場面に遭遇します。

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面接も、一種のインタビュー。

出来る限りその人の「人となり」を導き出さなければなりません。

 

そこで、「はい・いいえ」だけで会話が止まってしまいがちな「クローズドクエスチョン」は極力避け、「オープンクエスチョン」スタイルを主流にして進めることが重要とされています。

 

基本的には、

「オープンクエスチョン」を投げかけながら、相手が答えに詰まった時のためにいくつか「はい・いいえ」で簡単に回答できる質問を織り交ぜていく

これが、巧みなインタビューだと感じます。