いちばんよく効く薬は「ひにちぐすり」かもしれない
日々暮らしていれば、シンドイことがたくさん起こります。
心配や不安もたくさん出てきます。
仕事が順調に運ぶか?
イヤなあの人と明日また顔を合わせなければならない。
ユウウツだ!
明日に迫ったプレゼンは、果たしてうまく出来るだろうか?
また、好きな人、愛する人との別れもあります。
悲しみに打ちひしがれ、これからどうしようと途方に暮れることもあります。
そんなあれこれを数え出したらキリがありません。
どれもこれも、それを克服していくのは一種の「試練」です。
目前に迫った懸案事項のことを考え出すと、文字通り夜も眠れなくなる。
直前になると、いてもたってもいられなくなる。
また、その後いつまでも影響を引きずることもある。
こうした事態に対して、よく言われる言葉があります。
「神は人々に、乗り越えられない試練を与えることはない」。
事前や真っ最中は、死に物狂いです。
それがゆえに、周囲がまったく見えなくなってしまうこともあります。
でも「試練の時」を過ぎてしまうと…
誰しも、まずは何とも言えない安堵感に包まれる。
そして、もう少し時間が経って落ち着くと、
「直前にはあんなに心配していたのに、実際にやってみたらそれほどでもなかった」
「思っていたよりうまくこなせた」
「何をあんなに悩んでいたのだろう?」
と感じる。
もっと過ぎて振り返ってみれば、
「あの時はしんどかったけれど、今思えばあれもイイ思い出だった」
とさえ思えてくるのです。
問題や悩みを解決してくれるのは、いずれも「時間」です。
「ひにちぐすり」。
「ひにちぐすり」には即効性はありませんが、確実性のある「薬」です。
恋愛の別れと比べるのは難しいですが、つらくてかつ避けられない「肉親との死別」の悲しみ。
誰にも必ずやってくる出来事です。
しかし、それさえも時間が経てば、悲しみは次第に薄れてくる。
完全になくなることはないかもしれないけれど、その形が穏やかな、ある種懐かしいものに変わっていきます。
時間には、イヤだったことを忘れさせてくれる不思議な効能があるのですね。
「時は金なり」。
よく使われる言い回しです。
「時間は有限なのだから、大切に効率的に使いなさい」という教えです。
「大切」という意味では一緒かもしれませんが、本来の意味とはちょっと別の意味で考えることがあります。
すなわち「時は人の心に寄り添ってくれるもの」。
そう考えると、「時は金以上」と思えることが多いです。