さえわたる 音楽・エンタメ日記

オリジナル作品紹介、歌の解説、ヴァイオリン演奏、言葉の使い方、エンタメニュース、旅行記などについて綴っています

「先生」とは、モノを教える人だけの呼び名ではなかった~”さえわたる”も「先生」と呼ばれる不思議

今日は「先生」という言葉についての話です。

まずは、「先生」をテーマにした歌を探してみました。

 

淡い初恋 消えた日は

雨がしとしと 降っていた

傘に隠れて 桟橋で

ひとり見つめて 泣いていた

 

森昌子が、担任の教師に恋心を抱く生徒を歌った、デビュー曲

「せんせい」の冒頭の歌詞です。

古い歌ですが、大ヒットしたので名前ぐらいはうっすらご存知か、と。

 

先生 私覚えてますか?

手編みのセーター 着てますか?

ところで 先生 17歳は

オトナでしょうか?子どもでしょうか?

 

だいぶ雰囲気の違う歌詞ですが、これもよく似たタイトル

「私の先生」という曲の冒頭部分です。

こちらはほとんど知られていませんが、榊原郁恵のデビュー曲。

やはり、学校で先生に憧れる高校生の姿を歌っています。

 

小さな町の 中学校に

初めて来たのは 春のこと

あれからいくたび 校庭に

桜の花が 咲いたろう

教えた子どもは 数え切れない

 

かつて「欽ちゃん・二郎サン」の名で一世を風靡した、萩本欽一坂上二郎によるコント55号というコンビがありました。

二郎サンは欽ちゃんよりずっと年上なのに、いつも欽ちゃんにコテンパンにやられてしまうのが、二人のコントの芸風でした。

 

上記の歌詞は、そんな「二郎サン」こと坂上二郎が、歌手としてリリースした

「学校の先生」という歌の1番です。

こちらは、小さな町の中学校に赴任した教師の立場から歌った曲です。

 

同じ「先生ソング」でも、中身はずいぶん違います。

 

このように、「先生」と言えば「学校で生徒に教える教師」をイメージするのが普通です。

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しかし、世の中には「人にモノを教えていないのに、『センセイ』と呼ばれる」職種の人がたくさんいることに気づきます。

 

「医師」「弁護士」「税理士」「公認会計士」「建築士などの「資格系職業」。

「作家」「作詞家・作曲家」「美術家」などの「創作系職業」。

「俳優」「歌手」も偉大になると先生の仲間入り。

そして、忘れてならないのが「政治家」

 

なぜ、彼らはモノを教えていないのに「先生」と呼ばれるのでしょう?

 

辞書によれば、

おおもとの意味は文字通り「自分より先に生まれた者」、つまり「年長者」を指す言葉だった。

そこから転じて、学問や技術・芸能などを「教える」立場の人を「先生」と呼ぶようになった。

さらに、直接「教える」という行為を伴わなくても、「学識のある人や指導的立場にある人」に対する「敬称」として使われるようになった。

とあります。

 

郵便物でも「様」の代わりに「先生」が使われていたりします。

「様」より格上の敬称のようにも思えます。

 

資格や才能があれば「先生」と呼ばれるのも何となく頷けますが、政治家センセイもやはり「学識・技能が優れている」…のでしょうね?

 

実は私自身も、ごく限られた世界でなぜか「先生」になっています。

 

大学生の最もポピュラーなバイトと言っても良い「家庭教師」。

一応モノを教えていたので、生徒の家に行くと「先生」と呼ばれました。

これは、ほとんど「ナンチャッテ先生」ですが・・・。

 

学生時代も、もっとオトナになってからも、ヴァイオリンの生徒を何人か持っていました。

これは「家庭教師の勉強」以上にちゃんと教えたので、その場では「先生気取り」になっていました。

 

不思議な感覚なのが「作曲家」の世界。

 

以前も触れていますが、私は現在日本作曲家協会」の会員になっており、この組織のもとで作曲・編曲活動を続けています。

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しかし、実際に人に何かを教えているわけではないし、ましてや学識・才能があるわけでもない。

もしあれば、とっくにプロデビューしています。

 

それなのに、協会という組織の中では、会員はみな「先生」です。

郵便物は「さえわたる先生」で送られてきます。

協会の会合では、会員同士「先生」と呼び合います。

全然崇められる気分ではないし、むしろ違和感アリアリです。

 

 

コント55号を久しぶりに思い出したので、二郎サンの歌を貼っておきます。

発売からだいぶトシを重ねた映像ですが、もともと歌手志望だった片鱗をうかがわせる本格的な歌唱ぶりです。

 

この歌の特徴は、なんと言っても長いセリフ。

歌詞が3番まである…

それ自体はそんなに珍しくありませんが、

「各コーラスのあとにそれぞれ長いセリフが続いている」!

しかも「セリフパートは、バックのカラオケがまるで別の作品のように様変わりする」のです。

 

短い朗読劇を聴いているような気分になる、大変ユニークな曲。 

素晴らしいステージです!

 

www.youtube.com