【懐かしい歌No.32】「Missing」久保田利伸(1986)
この曲をひと言で表現するなら、
「スゴ過ぎて、心を奪われる1曲」
です。
これぞ「ザ・バラード」!
なぜかシングルにはなっていませんが、間違いなく彼の代表曲のひとつです。
カラオケでも、高い人気を誇っています。
シングルで知られている曲の多くが、ファンキーでアップテンポリズムのものであるだけに、余計にこのバラードが際立ちます。
もともとは、音楽プロデューサーとしてこの世界にデビュー。
当時20代前半の若さで多くの歌手、アイドルに楽曲提供をしていましたた。
主な顔ぶれは、
田原俊彦、中山美穂、小泉今日子、鈴木雅之、荻野目洋子、芳本美代子、とんねるず、バブルガムブラザーズなど。
当時の売れっ子ばかりです。
90年代に入ってからも、西田ひかる、森高千里、TOKIO、高橋真梨子などに楽曲を提供。
ここ数年も、CHEMISTRY、MISIA、ISSAなどとコラボしています。
しかし、彼の日本人離れした音楽性は、彼自身の卓越したヴォーカルによってこそ花咲くもの…
それを、この「Missing」で感じ取ることが出来ます。
1986年の発売と聞くと、それだけで世間的には懐メロとひとくくりされてしまいそうです。
しかし、この曲のどこにそんな古臭さがあるでしょうか?
日本語の詞の世界に、洋楽テイストあふれるメロディーラインとサウンドを運び込んで来た、時代を超越したアーティストの登場に、ホントウに度肝を抜かれたものでした。
こうした楽曲を作れるだけではなく、自らの歌唱で観客を魅了もできる…
レコーディングスタジオではない「一発勝負」の生ステージでの歌唱でこのパフォーマンス!
声の質、声量、声域、そして表現力…
「こんなに歌えたら、さぞ気持ちイイだろうなぁ…」
思わず嫉妬してしまうほど、すべてがエクセレント!
ライブならではの、この超スローテンポ。
かつ非常にハイレベルなメロディーに乗せて、感情を余すことなく自由自在に表現できる歌い手は、なかなか存在しません。
五線譜には書かれていないアドリブ的フレーズを随所に織り込んで歌っていることも、容易に想像できます。
バックのサウンドも控えめで、あくまでヴォーカルを前面に押し出した作りになっている…
そこも大きな魅力です。
人前に出て歌う「プロ」の歌い手とは、凡人がとてもかなわない秀でた実力を持っているからこそ「プロ」。
ホンモノの歌が聴きたい。
「ノリの良さ」にかこつけて、ただ高音を張り上げて叫んでいるだけのどこぞのバンドや、大勢で「お遊戯」ダンスをしながら、誰が誰の声かも判別できないユニゾン合唱を繰り広げるだけのどこぞのグループは、「プロ」とは呼びたくない…
そんなことさえ思わせてしまうほどの、圧巻のステージです。