TELで大きな数字やアルファベットの綴りを正確に伝えるひと工夫
ビジネスに欠かせない電話コミュニケーション。
特に、数字(金額)やヨコ文字の固有名詞は注意深く、かつ正確に把握する必要があります。
紙や画面があれば、簡単に確認できること。
でも、頼りになるのが電話の声だけとなると、意外に意思疎通が思い通りいかなかったりします。
具体的に、たとえば
「105万円」を電話で伝え、相手がメモをとるとします。
単純に読み上げれば「ひゃくごまんえん」になります。
これをそのまま声に出す場合、金額をメモする聞き手側は、「ひゃくご…」までの段階で「ひゃくごじゅう」だと思って、「15…」と書いてしまいます。
「まんえん」まで聞いて初めて、「150」ではなく「105」であることがわかるのです。
「15」までメモしてしまってから、あわてて「1」と「5」の間に「0」を書き入れたり、「105」と新たに書き直したりしなければなりません。
では、どうすればよいか?
伝える側が「ひゃく『とび』ごまんえん」と伝えれば、「1」と「5」の間に「0」が入ることが即座にわかります。
この「とび」が、聞き取る側にとっては意外に重要です。
これが億単位、たとえば「12億580万8千円」のような大きな額になった場合、「とび」を言ってあげるかどうかで、結果はだいぶ異なってきます。
1,205,808,000。
この数字をそのまま
「じゅうにおくごひゃくはちじゅうまんはっせんえん」
と読み上げるのではなく、
「じゅうにおく『とび』ごひゃくはちじゅうまん『とび』はっせんえん」
のように少しだけ丁寧に言えば、間にゼロが入ることがわかり、しゃべる側に少しだけ手間はかかりますが、まず間違いは起こりません。
横文字の綴りを正確に伝えるのも、特に固有名詞(社名・人名)の場合、数字の場合と同じようにちょっとしたひと工夫が必要です。
BとD、LとMとN、TとP、IとYなど、発音次第で聞き違えてしまう場合がよくあります。
長い単語を1文字ずつスペルアウトして読み上げても、やはりうまく聞き取れなかったりします。
そんな時、言う側は(やや面倒くさいのですが)「〇〇のB」(〇〇には国名・都市名を入れることが多い)とすると、確実に間違いがなくなります。
代表的なのは「ブラジルB」「デンマークD」「イタリアI」「ロンドンL」「マレーシアM」「ノルウェーN」「ペキンP」「トウキョウT」「ヨコハマY」など。
聞き違いの少ないGやHやRでも「ジャーマニーG」「ホンコンH」「ロシアR」など、確実に伝えます。
銀行や証券など金融業界の取引では、多額の売買を電話だけで成立させることが多々あります。
「このひと言で、〇〇億円のおカネが動くのだ…」とビビった経験も数知れず。
そこで、正確を期すためにこうした言い方が広く使われています。