さえわたる 音楽・エンタメ日記

はやり歌の世界、ヴァイオリン演奏、言葉の使い方、テレビ番組の感想、旅行記などについて綴っています

「肌ざわりの良い」はOKだが、「耳ざわりの良い」は明らかに違うでしょ?!

メディアで流される言葉には、少しでも印象を良くしようとの意図からか、あえて表現を言い換えようとしているケースがあります。

 

以前取り上げた記事で言えば、

「好き」に対してあからさまに「きらい」では角が立つので、あえて「苦手」と言い換える、

 

 

saewataru.hatenablog.com

 

あるいは、
「におい」という表現は漢字で書くと「臭い(=くさい)」とも読めてイメージが悪いので、仮に「良い」がついても「イイにおい」とは言わず「イイ香り」と呼ぶようになっている、
などです。

 

saewataru.hatenablog.com

 

厳密にはこれらとは違いますが、最近某番組で

「耳ざわりの良い」

という言い回しが使われている場面に遭遇しました。

 

話の流れから、この場合の「音」とは主に「音楽」のことを指しているようでした。

「聴いていて心地良い音」のこと、という意味で。

あるいは川の流れる音や、鳥のさえずりなども同様に含まれるかもしれません。

 

その出演者はきっと、「肌ざわりの良い」と同じ意味合いで、そうした表現を使ったのかと思われます。

 

しかしこれは、時代の変化云々の問題とは別次元で、決定的に間違っている表現だと思います。

 

漢字で書いてみて考えれば、その違いは明らか。

 

「肌ざわり」は「肌触り」、つまり肌の感触のこと。

ですから「肌触りが良い」「肌触りが悪い」双方使えるわけです。

 

ところが「耳ざわり」を漢字にすれば「耳障り」。

これだけで「耳に障る」、つまり「聴き心地が良くない」という意味になります。

「耳障り」に良いも悪いもないのです。

 

f:id:saewataru:20191213172534p:plain

これが仮に「耳」でなく「目」だったら、こんなことにはならなかったのかもしれません。

 

「目ざわり」は、間違いなく「目障り」。

「おぃ、目障りだ!あっち行け!」的に使う言葉であることは、ちょっと考えれば明らかなこと。

 

その時の発言者がいいトシをしたオトナの音楽関係者だったので、思わずビックリしてしまいました。

 

2か月前にも、似たような流れでこんな記事を書きました。

saewataru.hatenablog.com

改めて…

「爪痕」とは災害や不幸ごとなど「好ましくないこと」の痕跡。

それが、

「爪痕を残せるように、頑張ります!」

のように、「良い実績」を残す際にも使われるようにもなった。

インパクトを残す」という意味では同じであっても、「足跡」は大いに歓迎。

しかし「爪痕」はゼッタイに残して欲しくないと、個人的には強く思うのでした。

そもそも「ツメアト」なんて、痛いばかりだしキズが残ってイヤじゃないですか!

 

「耳ざわりの良い」などという言い回し自体が「耳障り」とも言えます。

ところが、最近活字上で「耳ざわり」をどうしても「肌ざわり」同様に使いたいらしく、本来の正しい漢字をわざわざ「耳触り」に変えた上で「耳触りの良い」と書かれている例に遭遇し、ビックリしました。

「みみざわり」と入力しても、そんな漢字変換候補は出てきません!

 

これに違和感を抱かない人は、美しい風景を見た時に、同じ感覚で「目触りが良い」などと言うのでしょうね?

 

では、その人の意図を汲んだ表現をしたい時には、なんと言ったら良いか?

「聞き心地の良い」

あるいは

「耳当たりの良い」

などで十分通じるのではないでしょうか?

 

自称「音楽人」は、耳にはこだわりが強いのでありました。