さえわたる 音楽・エンタメ日記

オリジナル作品紹介、歌の解説、ヴァイオリン演奏、言葉の使い方、エンタメニュース、旅行記などについて綴っています

【懐かしい歌No.24】「メリクリ」BoA(2004)

明日からもう12月。

いろいろなクリスマスソングが、街に流れ出します。

 

毎年この時期には、クリスマスをイメージした歌が多くリリースされるのですが、すでに古今東西さまざまな名曲が世の中に浸透しているため、新曲がその牙城を切り崩すことはなかなか難しいようです。

 

ストレートに「クリスマス」を歌った曲としては、

山下達郎「クリスマス・イブ」

松任谷由実恋人がサンタクロース

B’z「いつかのメリークリスマス

稲垣潤一クリスマスキャロルの頃には

back number「クリスマスソング」

など。

 

また、直接クリスマスの歌詞は登場しなくても、冬のイメージとして

レミオロメン「粉雪」

桑田佳祐白い恋人達

MISIA「Everything」

なども、一連のクリスマスソングとしてとらえられています。

 

みな聞き覚えがあり、馴染みも愛着もあるのですが、今日取り上げるクリスマスソングは、BoAの「メリクリ」です。

 

2001年に日本デビュー。

翌2002年に発売した「Listen to my heart」「Valenti」などのダンサブルなナンバーで、人気を博しました。

そんな彼女に注目したのが、2004年12月に発売されたこのクリスマスナンバーです。

 

タイトルに「クリスマス」を入れると、すでにたくさんの曲があってありきたりになってしまう。

そこで編み出された斬新なタイトル、「メリクリ」

誰でも知っている、けれど歌のタイトルとしてはこれまでになかった言葉を持ってきた時点で、企画としては大成功です!

歌詞に「メリー」も「クリスマス」もまったく入っていないのに、こんなにクリスマスムードを味わえるのも、タイトルの持つ大きな力だと思います。

 

当時18歳の彼女が、J-POPには非常に珍しい3拍子、プラス壮大なスローテンポアレンジのバラードを歌い上げています。

3拍子の曲はともすれば野暮ったくなりがちなのですが、この曲は3拍子にスウィングが取り入れられている(1拍の中がさらに3連符に分かれる)ため、逆にオシャレでロマンティックなムードを醸し出しています。

 

メロディーライン的には、音域が2オクターブもあり、かつワンコーラスの途中、サビに入るところで「法則通りでない異例の転調」をする難曲ですが、その複雑さをまったく感じさせません。

 

具体的にはサビで(カラオケのキーで言えば)「+2」になるのですが、ここで キーを上げることで、サビ頭の

「ずっと ずっと そばにいて」

のシンプルかつストレートな愛情あふれるメッセージが、高音部の続くメロディーと相まってより印象的に響き、特に当事者であればグッとくるであろうインパクトを残しています。

 

キーを上げた分、2番に入る時までの間奏部分で、またオリジナルのキーに戻さなければならないのですが、それを2番のアタマ直前たった1拍だけのコード進行で実現している。

そのアレンジの絶妙さに、マニアックに感心しています。

 

また、先週取り上げた雪の華同様、イントロにサビメロを織り込み、冒頭から聴く者をクリスマスムードにうまく導いています。

 

メロディーのスケールの大きさを感じる一方、

「コンビニでお茶選んで」

「貸してくれたCD」

「付き合ってくれて ねぇ ありがとう」

など、ありそうでなかった身近な歌詞を散りばめながら、「温かい冬」を届けてくれます。

 

歌の世界は10代カップルのメリークリスマスを思わせますが、オトナであるオッさんにも充分響いています。

 

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