さえわたる 音楽・エンタメ日記

オリジナル作品紹介、歌の解説、ヴァイオリン演奏、言葉の使い方、エンタメニュース、旅行記などについて綴っています

【懐かしい歌No.16】「お別れですあなた」ザ・ピーナッツ

まだTV放送が全面カラー化される前の1960年代、「ザ・ピーナッツ」という名の双子歌手が活躍していました。

 

ベートーベンの「エリーゼのために」をモチーフにした「情熱の花」(のちにザ・ヴィーナスが「キッスは目にして」でカバー)をはじめ、「恋のフーガ」「ウナ・セラ・ディ東京」「銀色の道」等、多数のヒット曲を生みました。

また、この時期「ヒッパレ~!ヒッパレ~!」の主題歌で知られたフジテレビ系「ザ・ヒットパレード」(1959~1970)にレギュラー出演していたほか、日本テレビ系の名物バラエティーシャボン玉ホリデー」(1961~1972)のメイン司会者でもあり、歌手だけでなくバラエティータレントとしても一世を風靡しました。

今のアイドルとは異なり、若くして大人をも魅了する真のエンターテイナー的存在でありました。

 

このように、活躍の時期は主に1960年代でしたが、この曲は70年代に入りメディアへの露出が減って来た1974年に発売(翌1975年に引退)。

あまりヒットには恵まれませんでしたし、おそらくほとんど知られていない歌かと思いますが、古くはあっても古臭さは感じさせない作りになっています。

 

最近の歌ではまず耳にすることがない、クラシック音楽を思わせるような壮大なイントロに導かれ、バラード調の美しいメロディーラインに乗せてタイトルフレーズの「お別れです あなた」が始まります。

詞の内容から、結婚、あるいは少なくとも同棲関係にある二人の「深い別れ」が綴られているものと想像できます。

サビの「どうぞ 見送りなんか やめてほしい 駅はわかる いつもあなたを迎えに 歩き慣れた 一本道だから」の歌詞は、なんとも健気で意地らしいです。

 

また曲の方に目を転じてみると、特徴的なのが歌の始まり方。

歌は「主和音(ドミソ、I度)」から始まるのが普通なのですが、この歌はイントロに導かれてⅣ度(ドファラ和音プラス7thコードの入ったバリエーション)から始まっている変則的なパターンで、コード進行上も細やかな工夫のあとがうかがえます。

 

当時30代になり円熟味を増した彼女らのヴォーカルが彩りを添えた、個人的に「隠れた名曲」のひとつとなっています。

 

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