さえわたる 音楽・エンタメ日記

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【懐かしい歌No.5】「九時からのりりィ」カプチーノ

今日も、知名度は低い、しかし個人的には大好きで30何年経った今も忘れられない名曲、カプチーノのデビュー曲「九時からのりりィ」をご紹介します。

 

発売は1981年のようです。

手掛けたのは、ピンクレディーの一連のヒット曲の生みの親、作詞・阿久悠、作曲・都倉俊一というスーパーコンビ。

女性ボーカル1人に対し、脇を数名の男性メンバーが固める構成は、さらに一時代前に活躍したペドロ&カプリシャスと同様のものでした。

(そのボーカルメンバーだった高橋真梨子は、ソロとして今も現役で活躍中)

 彼らも同じ阿久・都倉コンビにより「ジョニーへの伝言」「五番街のマリーへ」などをヒットさせており、「九時からのりりィ」を初めて聴いた時、カプチーノは彼らの後継者的位置付けのようにも思えました。

 

メロディーは、どこかしら郷愁を覚える王道のバラード。

短調で始まり、いつの間にか自然に長調に転調してサビを迎えるメロディー運びが、なんとも秀逸です。

アレンジ面でも、イントロ段階ですぐサビメロを活用してインパクトを強めるなど、細かい工夫が巧みになされています。

ボーカル・ニッキの芯のある太い声も魅力的に響いてきます。

 

言葉の方に目を転じると、「九時からの~」というタイトルだけでは一瞬何のことか意味がわからないのですが、冒頭の歌詞にあるように、夜の9時から古いクラブで、誰が聴くでもないBGM役としてピアノの弾き語りをしている主人公の切ない恋物語であることがじわじわと伝わってきます。

2番の歌詞「私のこの胸はメニューのないレストラン ほかの愛なんてもう選べない」のフレーズが、なんとも印象的です。

 

現在ではほとんど見られない「2コーラスだけで終わる(Dメロやリフレインがない)構成」ですが、4分の間に主人公の境遇・心境を含め、しっかりとひとつの「ドラマ」が刻まれている…

そんな感銘を強く受ける一曲です。

 

普通ならかなりマイナーな曲まで入っているカラオケにさえ入っていないほど、ヒットには恵まれなかった曲ですが、個人的にはずっと大事にしていきたい作品です。

 

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