「パンツ」と堂々と言える時代
前にも述べたように、「衣食住」の「衣」=ファッションの部分にはこだわりを持たない生活をしています。
こだわりを「持たない」と言うより「持ちたくても持てない」と言った方が正しいかもしれません。
ファッションへの憧れはあるのです。
ただ、人並み外れた長身のために、それを叶えてくれるサイズの服に巡り会えないのです。
多少気に入らない部分はあっても、サイズに合わせて着るしかない、そんな感じです。
そのため、最新の流行情報にはまったくついていけていません。
世代的に単に時代の流れに追いついていけない、それだけのことだったりもしますが。
ですから、服飾品の呼称の変化にもまったく疎いです。
ジャケットの内側に着る「ベスト」。
かつては「チョッキ」と呼んでいました。
さすがに今では「チョッキ」と呼ぶことはなくなりましたが、最近は「ベスト」さえも古臭くて、「ジレ」と呼んだりするとかしないとか…
「スパッツ」の呼称も時流に乗っていなくて、最近は「レギンス」?
両者に明確な違いがあるのか、単にオシャレ度だけの話なのかさえもわかりません。
「ジーンズ」も、今では「デニム」と呼ぶのが一般的、なのでしょうか?
そんな中、一番インパクトがあったのは「パンツ」。
現代では、男女問わずアウターとして身に付けるかつての「ズボン」が、普通に堂々と(!)「パンツ」と呼ばれています。
「パンツスーツ」なんて呼び方も、ごく一般的です。
幼い頃「パンツ」と言えば、間違いなく「下着」を指すものでした。
小学校では「あいつ、寒いからって毛糸のパンツはいてるぜ!」などとからかう光景も見られました。
何と言っても下着の呼び名ですから、人前で口にするのははばかられる感覚がありました。
では、「ズボン」が「パンツ」となった今、かつての(下着としての)パンツはどう呼ばれているのか?
同じ「パンツ」の名を文脈でアウターかインナーかを判別する場面ももちろんありますが、下着をストレートに「パンツ」と呼ぶ機会が、最近では少なくなってきたように思えます。
(男性の場合ですが)より細分化されて、「ボクサー」「トランクス」「ビキニ」(男性用の服にビキニという名前が登場するのもある種驚きですが…)と呼ばれているような…。
これも、イメージを重視するファッション業界の戦略のひとつなんでしょうね。